筋収縮と腱の伸長の関係

我々は、筋の長さが変わらないまま活動している場合、等尺性収縮が行われており、筋が短くなるなら求心性、強力な力によって引き伸ばされているなら遠心性収縮が起きることを知っています。

しかし、筋の長さの変化は筋線維の長さとその腱の伸長に影響されるという事実が、これをより複雑なものとさせます。

たとえば、下腿三頭筋が最大収縮するとアキレス腱は約10%伸ばされます。

したがって、下腿三頭筋が等尺性収縮しているであろう局面であっても、筋線維レベルでは若干の求心性収縮が起きていると考えることができます。

また、外側広筋は歩行周期中の踵接地直後に遠心性収縮を行うと一般には知られていますが、こちらも近年の研究では筋線維の長さはほとんど一定のままであることがわかりました。

こちらは下腿三頭筋の例とは反対に、腱の伸長により筋の伸長が相殺されていることを意味します。

踵接地後の前脛骨筋においても同様の結果が示されており、伸張性に働いているであろう局面でも本質的には等尺性であることが観察されました。

こうした研究結果から、腱の伸長は筋全体への衝撃を軽減し、かつ弾性エネルギーを効率的に保存しているのではないかと考えられています。

また、関連するいくつかの研究から、腱の特性として筋線維の長さの変化を最小限に抑え、筋の長さ-張力関係上の至適長に維持するものなのかもしれないと示唆されています。

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