咀嚼筋とその作用

咀嚼の主動作筋は、咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋となります。

咬筋は分厚く、力強い筋で、下顎骨のすぐ下で容易に触知でき、側頭筋は、頭蓋の側頭窩の凹面の大部分を覆う平坦な扇型の筋とされています。

内側翼突筋は二頭からなり、大きな深頭は蝶形骨の翼状突起外側板の内側面に付着し、小さな浅頭はちょうど第三臼歯の上で上顎骨の後方部に付着します。

外側翼突筋は、一般的に2つの筋頭を有する双羽状筋とされており、上頭は蝶形骨大翼に、大きな下頭は、翼状突起外側板の外側面と隣接する上顎骨に起始します。

咬筋は、両頭とも基本的に同じ作用を持ちます。

両側の咬筋の収縮は、咀嚼中、歯が接触するように下顎骨を挙上します。

筋の力線の方向は大臼歯の咬合面に対してほぼ垂直をなします。

そのため、咬筋の主な作用は、食物を効果的にすりつぶし噛み砕くための大臼歯間の大きな力は生じさせることです。

両側の咬筋が働くと、下顎はわずかに突き出ますが、一側の咬筋の収縮ではわずかに同側へ偏位するだけとなります。

咬筋の複数の作用は、効果的な咀嚼のために必要なものとなります。

両側の側頭筋の収縮は、下顎骨を挙上させます。

さらに斜め後方への線維は下顎骨を挙上し後退させます。

咬筋と同様に、側頭筋の末梢の付着部はわずかに内側を向いています。

そのため、左右交互に噛む動作のときのように側頭筋の一部の収縮は下顎をわずかに同側へと偏位させます。

内側翼突筋の両頭は、下顎骨を挙上し、限られた範囲で前方へ突き出します。

前額面に対して、筋の斜めの力線をもつため、一側の収縮は、非常に効果的に反対方向へ側方偏位させます。

外側翼突筋は、両頭が一側ずつ作用することで下顎骨で反対方向への偏位を起こします。

一側性の収縮はまた水平面において同側の関節突起を前内方へ回転させます。

通常、右あるいは左の外側翼突筋は、咀嚼中、ほかの筋とともに一緒になって収縮します。

また、多くの研究結果から、下頭は、特に強制的な開口運動時に下顎骨を下制する筋であり、上頭は、強制的に顎を閉じようとするときに関節円板の緊張と関節の位置を調節するのに役立っています。

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