胸鎖関節の特性

胸鎖関節は、鎖骨の胸骨関節面と胸骨の鎖骨切痕からなる関節になります。

またこの関節は、体幹と上肢帯を連結する唯一の関節でもあります。

前額面では鎖骨側の関節面が凸面で、胸骨側が凹面、矢状面では反対に鎖骨側の関節面が凹面で、胸骨側が凸面です。

このため、鎖骨の挙上時【上腕骨の挙上と連動)には鎖骨関節面は下方に滑り、下制時には上方に滑ります。

鎖骨の前方牽引時(上腕骨の水平内転と連動)には、鎖骨関節面は前方に滑り、後方牽引時には後方に滑ります。

胸鎖関節の関節面の凹凸は浅く、平面に近い形状のため、上腕骨の外転と屈曲に伴う鎖骨の挙上と後方回旋(複合運動)が可能となります。

胸椎の後弯が亢進すると左右の肩が前方に変位するため、胸鎖関節では鎖骨が前方牽引した状態となります。

胸椎後湾が亢進している場合は、この関節が大・小胸筋の緊張・短縮によって前方牽引変位(後外方への制限を起こしている場合が多い)した状態になります。

また、一側だけの肩の前方移動変位もよく観察される変位です。

見過ごされがちな関節ではありますが、上肢の運動性、安定性に大きく関連する関節であるため、しっかりと評価していきたいものです。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。