横隔膜と腹筋群の拮抗と共同
横隔膜は吸息の主動作筋であり、腹筋群は呼息の強力な補助筋として働きます。
これらの筋群は明らかに拮抗作用を持ちますが、共同的にも作用します。
実際、横隔膜は腹筋群が働かないと効果的に作用しません。
吸息時、横隔膜が収縮し胸郭の上下径を増加させるように腱中心を引き下げますが、すぐに縦隔の伸張と腹部臓器の抵抗により元に戻ります。
これらは腹直筋、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋などの強力な腹筋群による腹部空間の中に含まれています。
これらの筋群が働かないと、腹腔内臓器は前下方に押しやられ、横隔膜が下部肋骨を挙上させるに必要な腱中心の固定がなされなくなります。
したがって、この腹筋群の共同作用は、横隔膜の作用効率に欠くことのできないものとなります。
呼息時では、横隔膜は弛緩し、腹筋群の働きで胸郭底を上げ、同時に胸郭の左右径と前後径を減少させます。
腹腔内圧の増加によっても内臓は上方に押し上げられ腱中心は挙上されます。
これにより胸郭の上下径は減少します。
こうして腹筋群が胸郭の3方向の直径を同時に減少させると、腹筋群は横隔膜の完全な拮抗筋となります。
これらの筋は、互いが交互に緊張し、流動的に絶え間なく働いており、これが腹筋群と横隔膜が拮抗筋であり共同筋である所以となります。
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