共同筋の動員パターンについて
共同筋における効率的な動員パターンに変化が起こると、そのうちのひとつないしいくつかの筋がその他と比較して優勢になります。
考えられる原因としては、特定の筋が過剰に活動しうる動作を頻回することで、共同筋内でプラスとマイナスの筋が生まれることにあります。
その結果、優位な共同筋の方向への運動が生じます。
例えば、僧帽筋の優位性について考えてみると、僧帽筋上部は、肩甲骨を動的にコントロールする筋群のうち、肩甲骨上部において重要な役割を占める筋であり、僧帽筋下部と比較すると上部のほうが優位となる傾向にあります。
僧帽筋は、肩甲骨を内転し上方回旋しますが、上部線維は肩甲骨を挙上し、下部線維は肩甲骨を下内側方向へ牽引することで、肩甲骨の関節窩の適切な空間に位置させながら運動を行うことができます。
過度の肩甲帯の挙上は僧帽筋上部が優位となり、下部がこれを抑制することができなくなった状態です。
僧帽筋下部の筋力に低下が認められるかもしれませんが、僧帽筋下部の筋力強化運動を行うだけでは不十分になります。
筋の動員と筋の収縮能力とは関連がありますが、筋力を強化することは必ずしも動員パターンを変化させることにはなりません。
この場合、正常な運動の再獲得のためには、共同筋の動員パターンに対してアプローチするべきだと考えられます。
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