固有反射と随意運動の調整

すべての運動は筋や関節や皮膚の受容器を活性化させます。

偉大なイギリスの生理学者Sherringtonは、身体運動によって発生する感覚シグナルを「固有受容性感覚」と名付け、通常の身体運動の制御に重要な役割を果たしていると考えました。

その好例が、呼吸の調節に関わるヘーリング-ブロイエル反射です。

呼吸運動中、吸息によって肺が伸展されると、伸展受容器が刺激され、吸息を終わり呼息が開始します。

呼吸パターンを形成する反射であり、これをヘーリング-ブロイエル反射といいます。

これと同様の状況が、歩行においても見られます。

例えば、立脚相の終わり近くになると、遊脚相を開始させる感覚シグナルが発生します。

また、腕の感覚性ニューロパチー患者について行われた最近の研究から、固有感覚シグナルは随意運動における運動の調節にも貢献していることが明らかになりました。

これらの患者は、固有受容性感覚の欠如により脳の複雑な慣性特性を補償することができないため、異常な運動を示したり、腕を正しい位置にもっていくのが困難であったりします。

そのため、随意運動の調整に対する固有反射の第1の機能は、身体や四肢の生体力学的状態の変化に応じて調整することにあるといえます。

この調整によって、運動の発現に伴う協調的な筋活動パターンを形成し、運動出力に付随するイレギュラーな変動を補償することが可能になります。

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