関節唇の障害メカニズム
関節唇は肩関節の組織において比較的障害されやすい部位であるといえます。
これにはいくつかの理由があり、まず第一に関節唇上部が関節窩周辺にゆるく結合していることがあげられます。
関節上結節に付着する二頭筋長頭内で発生する過剰で大きく反復する力は上部関節唇の剥離を引き起こします。
上部関節唇は野球のピッチャーのような投擲競技者において断裂頻度が高く、これはこの動作中に二頭筋に生じる力が関係していると推測されます。
投球動作のコッキング相、フォロースルーの際に筋が急激に腕の動きを減速するように作用するため、二頭筋長頭は強いストレスに晒されます。
このストレスは上部関節唇へと直接伝わります。
これらは上部関節唇の損傷機序ですが、関節唇の損傷や剥離は関節窩の前下縁に沿って生じるのが一般的です。
正常では、関節唇のこの部分は下関節上腕靭帯の前部線維束と硬く結合していますが、上腕骨頭の急激な前方並進により損傷されることがあります。
通常であれば、上腕骨頭の前方並進は抑止されますが、二頭筋長頭など上腕骨頭に影響を及ぼす筋の弱化により前方不安定性が生じ、これが原因となり、関節唇や関節包に対して損傷に至る力が及ぼされます。
損傷した関節包や関節唇はより大きな肩関節の前方不安定性を引き起こし、それに至った頻繁なストレスの繰り返しという状況の間で悪循環に陥ります。
関節唇の保存療法では、上手く治癒できない場合が多くありますが、これは特に肩に不安定性が存在する場合に起こると言われています。
そうした場合、外科的手術が必要であると言えるでしょう。
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