手術後の組織の癒着とストレッチ

すべての手術は、組織間が癒着するリスクがあり、その結果、組織間の滑りの制限、筋力不均衡、筋力低下、柔軟性の低下などによって機能障害が生じます。

また、傷から離れた部位にも、機能障害が起こる可能性があります。

正常な運動は軟部組織の伸張や滑り・移動によって生じるため、軟部組織の可動性の低下は、運動機能を低下させ、周囲の筋膜関連の歪みは共同筋や拮抗筋のバランス、固有感覚を変化させることとなります。

こうしたものから生まれる代償運動や、組織の抵抗に打ち勝つための力によって生じる歪みは多くのエネルギーを消費し、さらなる組織損傷を生じる可能性があります。

こういった癒着を軽減するために、術後の創部に対してストレッチなどの徒手療法が用いられることがあります。

実験結果では、術後の創部に対して20〜30%伸張するストレッチを1日2回10分計7日間行ったところ、組織間の癒着が減少することがわかりました。

さらに、低い強度のストレッチでは炎症が軽減し、高い強度のストレッチでは炎症が増強したことから、日常的な動作でも炎症を減弱させるのに効果的である可能性が示唆されています。

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