痛みと筋の制御

疼痛は、神経筋制御に影響を及ぼします。

例えば、膝関節痛を抱える人においては、階段の昇降の際に、内側広筋と外側広筋の活動に変化が出現すると言われています。

一般には外側広筋に比べて内側広筋の活動が遅れるとされており、これがさらなる疼痛や膝関節疾患を招く可能性があると考えられます。

また腰痛患者では、多裂筋の活動が減弱することが分かっています。

さらに脊椎の屈曲最終可動域において脊柱起立筋の活動が健常者ではなくなるのに対し、腰痛患者では持続して活動していることも分かっています。

これらは、疼痛に対する神経系の反応が、筋活動を増強したり減弱させたりすることで動きを小さく、つまり疼痛回避動作を制御しているということが一部言えます。

そして、このような筋の増強と減弱には筋の構造が関係しているとされ、脊柱起立筋のような多分節にわたるグローバルな筋は、共同筋を減弱させたり、拮抗筋 の活動を増強させ、深部にあるローカルな筋は、自身の活動が弱くなることが多い傾向にあります。

したがって姿勢や関節制御の不安定性を改善するためには、その原因が周囲筋の増強や減弱なのか、その筋の減弱なのかをしっかり見極める必要があるでしょう。

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