股関節内圧と関節肢位

正常な股関節の関節内圧は通常、大気圧以下にセッティングされています。

この相対的に低い圧力は、関節にある程度の安定力を与える吸引力を作り出します。

正常な股関節において、周囲のすべての筋・靭帯・関節包を取り除いたとしても、骨頭を逸脱させるためには、22kgの牽引が必要であるとさえ言われています。

この関節内圧は、股関節の屈曲伸展の大部分の可動域を通じて相対的に低く維持されており、特に関節可動域中間域において最も低くなることが知られています。

炎症や腫脹をきたした股関節では軽度屈曲位が快適肢位であるとされ、これは膨張した股関節内圧が軽度屈曲位において減少するためです。

しかし、長期間の屈曲保持は股関節屈筋と関節包靱帯の短縮を招き、関節拘縮へとつながってしまいます。

特に股関節では滑膜や関節包、滑液嚢に炎症が生じると屈曲拘縮を起こしやすいため、伸展位の動作ができるように治療プログラムをデザインしなければなりません。

運動では、股関節屈筋や前方関節包のストレッチ、股関節伸筋の強化が必須となるでしょう。

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