前かがみとスクワット姿勢の利点・欠点
床から何かを持ち上げるようなリフティング動作において、スクワット姿勢から挙上する動作と日常的な「前かがみ姿勢」から挙上する動作では身体に及ぼされる影響が変化します。
前かがみ姿勢では、膝を軽度屈曲し、股関節と腰部を伸展させたまま行われますが、この方法では特に、動作開始時に腰部に屈曲ストレスが加わります。
この大きく屈曲した腰椎とともに腰部体幹の伸展筋力によって椎間板には大きな圧迫力と剪断力が発生します。
これに対し、スクワット姿勢では、一般に股関節と膝関節を大きく屈曲して行います。
負荷量や開始時のしゃがみ込むの深さにもよりますが、腰部は中間位か部分的に屈曲した状態に保たれます。
スクワット動作の最大の利点は、負荷と体幹の距離を短くすることで、背部へのストレスを減少させることにあります。
一般的には、スクワット姿勢と前かがみ姿勢では前者のほうがより安全であると考えられていますが、それを裏付けるだけの根拠はほとんどないと言われています。
しかし、両方の利点や欠点を考えたときにはスクワットリフティングが優れていると言えるわけです。
スクワットリフティングの利点は先程述べた通りですが、欠点も存在しています。
開始時のしゃがみ込みによる極端な膝屈曲は、膝伸展のために大腿四頭筋に大きな力を必要とします。
この力は、脛骨大腿関節や膝蓋大腿関節に非常に高い圧力を課すことになります。
そのため、膝関節に不安がある方にとっては、問題となるかもしれません。
一方、前かがみリフティングにも利点があり、前かがみリフティングはスクワットリフティングよりも約30%ほど代謝面で効率的であり、より小さな仕事量で遂行できます。
そのため、負荷量によっては前かがみリフティングのほうが有効な手段となることもあるようです。
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