楽して体を変えられるか

人間誰しも楽してやせたいと思うもの。運動も何もせずにやせられる方法があるならそれに越したことはありません。でも答えはノーです。人間に、体内外の環境を一定値におさめようとする働きがある以上、一定値からマイナスに傾けようとする行為は楽なものではないでしょう。

運動をせずとも体を変える方法は、なきにしもあらずかもしれません。

ただ運動をせずとも体を変える方法は、なきにしもあらずかもしれません。それはイメージトレーニングです。人間が運動をすると、その種類に応じて筋力が上がったり、持久力が上がったり、筋が大きくなったりします。そのうち筋力の向上は、一般的には2つの要素からなります。ひとつは筋の横断面積の増大です。筋が肥大することで横断面積が増加し、より強い力を発揮することができます。もうひとつは神経系の適応です。これは筋を動かす神経とそれにまつわる周辺組織の働きが向上するものによります。神経系の適応により、見た目は変わっていないにも関わらず筋力が上がるということが起こります。

イメージトレーニングは、実際のトレーニングには及ばないものの、筋力を向上させることがある。

この2つの要素のうち、注目すべきは神経系の適応です。神経系の適応はさまざま要素からなりますが、その効果が明確であるにも関わらず、ないがしろにされがちなものがあります。それが先にあげたイメージトレーニングです。ある研究では、12週間、小指の筋肉をトレーニングした群と全くトレーニングしない群と、小指を動かすことをイメージした群とで比較したところ、トレーニングした群では30%の筋力の向上がみられなんとイメージだけの群で22%の向上がみられたとされています。さらに、全くトレーニングをしていない反対の小指の筋力も両群とも10%を超える筋力の向上がみられました。つまり、イメージトレーニングは、実際のトレーニングには及ばないものの、筋力を向上させることがあるということです。これを考えると、イメージトレーニングだけで体を変えることができるかもしれません。ただ、何ヶ月もの間、わざわざ「筋を動かしている」イメージをするよりも実際に運動したほうが、効果的ですし、ずっと楽しいものかもしれません。

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