寒さと食事
強烈な寒波が襲来しており、とても寒い日が続きます。
運動や休養の質はこうした寒さによって影響を受けますが、栄養も例外ではありません。
寒さは、アドレナリンの分泌を増やし、皮膚血管の収縮、血圧上昇、血糖値の上昇を引き起こします。
さらに筋血流が増加し、熱産生が高まりますが、これには肝臓や筋に貯蔵されたグリコーゲンや血中のグルコースが必要になります。
したがって、熱産生の増加には、糖の補給が欠かせないということになります。
寒冷環境が長期間続くと、生体はそれに対応できるような態勢となります。
これを順化といい、寒冷順化によりノルアドレナリンの分泌が高まり、甲状腺機能が亢進します。
すると脂質代謝が高まり、脂肪組織における遊離脂肪酸の動員が促進され、熱産生量が20〜30%上昇します。
寒冷環境ではエネルギー源として脂質が重要であり、さらに高脂肪食により耐寒性が高まります。
また寒冷環境では、胃の活動が活発となり食物摂取量が増加し、基礎代謝も亢進します。
一方、タンパク質代謝も低温時には変化し、肝臓ではアミノ酸による糖新生が亢進、骨格筋では解糖系が亢進、TCAサイクルにおけるATPの産生が促進されます。
タンパク質の特異動的作用による非ふるえ熱産生も重要です。
ビタミンに関しては、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6の重要性が唱えられています。
ラットを-1℃の寒冷下で飼育した場合の生存率は、ビタミンCの150mg/日投与群で85%、非投与群で25%であり、ビタミンC投与の有効性が明らかになっています。
さらにビタミンCの大量投与は寒冷による副腎肥大を軽減させる上でも重要だと言われています。
低温環境下では、糖質、脂質、タンパク質代謝が亢進するため、これらの代謝の円滑にするビタミンB1、B2、ナイアシン、B6の摂取が望ましいとされています。
一方、1日30〜60gの多量の食塩を摂取すると、基礎代謝が亢進し、耐寒性が向上します。
しかし、エネルギー源を糖質だけに頼り、食塩を多量に摂取する食習慣は、高血圧、動脈硬化、脳血管障害などの多発を招き、健康上好ましくありません。
また、寒冷下では、脱水状態が起こっても口渇感を生じないため、適切な水分摂取も大切です。
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