妊娠期間と仙腸関節

妊娠によって誘発された骨盤の可動性増大は産後4ヶ月まで続き、子宮の退縮とともに関節の安定性は回復します。

骨盤の関節可動性の変化は妊娠期間や、程度は低いものの月経期間中における性ホルモンの分泌量の増加によって刺激された靭帯の弛緩と関連しています。

妊娠中や月経中に黄体によって産生されるリラキシンなどの性ホルモンの増加は骨盤の靭帯を弛緩させると言われていますが、議論の余地があり、リラキシンの血中レベルは周囲の関節の弛緩増大に対して常に関与しているわけではないと言われています。

しかし、どのような原因であれ、仙腸関節の靭帯の弛緩は結果的に仙骨と腸骨の間の連動メカニズムの有効性を減少させるため、仙腸関節はより自由な運動が可能になり、最終的には骨盤の直径の増大がもたらされます。

これに加え、仙尾骨関節と恥骨結合が同様の影響を受け、これら3つの連結が弛緩した結果、骨盤の直径は10〜15%増加し、胎児の動きが促進されます。

しかし、骨盤の可動性増大による分娩の促進は、代償なしには生じません。

その代償には多くのものがありますが、特に妊娠期間と毎月の月経期間中に仙腸関節へ作用する大きな捻れと剪断力があげられます。

特に仙腸関節はその関節の結合により普段から強い剪断力が加わっているため、注意しなければなりません。

さらに、こうした周期的な可動性の増加は関節内に緩徐な退行性変化をもたらすことが示唆されています。

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