コアの剛性と運動

脊柱の安定性やコアスタビリティ、スタビライゼーションエクササイズにはスポーツに従事する多くの人が関心を向けています。

なぜこんなにも多くの人が熱心になるのかというと、コアや腹部のトレーニング、コアの剛性や安定性は、疼痛管理、パフォーマンス向上、損傷からの回復のために不可欠な要素であるからです。

これらは4つの要素から説明できます。

すなわち、「近位の剛性は遠位の四肢の速度を向上させる」こと、「筋による張り網システムは、たわんで動く脊柱が負荷に耐えるために必須である」こと、「筋の同時収縮は剛性をつくり、痛みや組織変性につながる関節の微細な運動を抑制する」こと、「腹筋群による防御は、特定の職業やスポーツなど、衝突が起こるような状況において必要である」ことです。

特に重要とされる2つの要素について考えていきます。

まず近位の剛性からです。

パンチやプッシュ動作において、大胸筋が活動することでそれが達成されますが、このとき、大胸筋の収縮は近位で胸郭そのものも腕のほうへ引きつけます。

したがって、大胸筋のみの活動では強い、または速いプッシュ動作にはなりません。

しかし、ここで胸郭が動かなければ大胸筋の収縮はすべて遠位の腕の挙動につながり、速く力強い動きが生み出されます。

下肢でも同様に、剛性を高めたコアは股関節の近位端は固定することによって脚をより速く動かすことができます。

次に、脊柱の構造から考えていきます。

脊柱は椎体が積み重なったものであり、たわんで動くにも関わらず荷重に耐えるという2つの役割を担っています。

その昔、生命が横紋筋を手に入れた頃の話ですが、昆虫と脊椎動物は2つの方法で筋肉を身体に適応させました。

昆虫は鎧のようながっしりとした、中が空洞となる骨格を手に入れ、それらの関節部分に筋を配置させました。

これにより強固な安定性と筋による運動性を手に入れました。

これに対し、脊椎動物は骨格を体幹や四肢の中心部に位置させ、その周りを筋で覆うという体系をとりました。

これは言わば、船に立つマストとそれを支えるロープにような形、つまり張り網構造です。

脊椎動物は昆虫よりも圧倒的な柔軟性を手に入れましたが、筋は運動に加えて支持の仕事も要求されるようになりました。

この柔らかくて硬いシステムは、運動を多様化・複雑化させることになりますが、進化の過程で我々は、力強さ、素早さ、正確さ、持久性を得ることになります。

現代ではどうでしょうか。

現代の生活ではこれらの調整や訓練があまりできていないとされています。

だからこそコアの剛性を高めるトレーニングが必要だと考えられます。

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