野生動物とヒトと
野生の動物は、生命維持に必要なエネルギーを獲得するため、狩りという運動を行い、その結果、食事にありつきます。
そして獲得したエネルギーを少しでも節約するために、安全な場所で休養をとります。
これはまさに人間が健康的であると考える生活パターン、運動・栄養・休養を体現しているものだと言えます。
意義こそ違えど、ヒトにとっても野生動物にとっても長生きするための行動であることは間違いありません。
とはいえ、ヒトでは健康の維持ができず、病気にかかってしまったり、その予備軍とも言える人が増えてしまっている事実もあります。
健康を維持する術も、その効果も、それらを考えられることが出来るヒトがそうなってしまうのは皮肉なものです。
ヒトは進化の過程で、自然環境への合理的な適応能力を獲得してきました。
ヒトが地球上に広く分布して生存する上で、全身持久的な運動能力と環境へと適応能力は不可欠であったとされています。
ヒトは良質なタンパク質と脂質を確保するために長距離の移動を伴う狩猟活動を行い、有酸素的持久能力を進化させたという説もあります。
そしてヒトは、他の動物とは異なる直立姿勢をとり、運動時の生体反応を統合的に調節する機能を獲得しました。
また、日常生活において刻々と変化する身体活動の強度や環境温度の急激な変化に対応して生理機能を速やかに再調節し、恒常性を維持する機能を発達させてきました。
この全身持久力の獲得は、健康の維持・増進と強く関連することが知られています。
しかし、特に先進国においては、生活環境が快適なためか、身体を動かす機会が少なくなり、屋内においては室温は常に一定に保たれています。
また、そのような環境で座り仕事をしている人が多くを占めます。
そのため、ヒトが身体を動かすことで獲得してきた適応能力は徐々に低下し、運動不足による生活習慣病や暑熱環境に適応できず熱中症になるなどが生じています。
栄養面についても、おおよそ何でも食べられる時代に、何も食べない、偏食をする、食べ過ぎているのに消費はしない、といった問題を抱えています。
食べなければエネルギーは獲得できませんし、人間は何か一つを食べていればいいというわけでも、食後誰かに命を狙われるわけでもありません。
休養においても同じです。
寝床は確保されていますし、入眠環境もよく安心して眠れます。
ヒトは学習をする生き物です。
改めて周りの動物から行動を学ぶ必要があるのかもしれません。
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