姿勢異常と筋長の関係

姿勢のアライメント異常によりその関節周囲の筋は多くの場合、その状態に適応すべく変化を生じます。

筋と関節の関係で言えば、一方の筋は伸張位にあり、その拮抗筋は短縮位にあります。

動物実験において、筋を伸張位で保持することは筋組成の変化を及ぼし、特にこの変化の要因には筋長が大きく関与しています。

その他の要因としては、年齢、筋線維配列、筋線維タイプなどがあります。

一般的に筋を伸張位で保持すると、筋タンパク質の合成の促進や筋節数の増加が見られます。

伸張された筋は筋肥大を起こし、結果的に収縮力が増加します。

持続的に筋を伸張することにより本来の長さ-張力関係を維持するような構造上の再構築がみられ、最大トルクを発揮する関節の肢位も変化します。

しかし、臨床の場においてアライメント異常によって伸張位で固定された筋に対して、そのような印象を受けないということもあります。

これを説明するものとして、筋の再構築がなされるほどの伸張位で保持した場合、伸張性弱化が生じるという報告もあり、肩関節を例にすると、猫背の人では僧帽筋中部線維は持続的に伸張されることで伸張性弱化が生じ、徒手筋力テストの肢位での筋力低下がみられるといいます。

短縮位での固定においては、より筋委縮は促進され、筋節の減少がみられ、複雑な関係性であることが伺えます。

例えば、側彎症患者では凹側の筋は短縮、凸側の筋は伸張されていますが、実際には両側の筋が萎縮しています。

姿勢アライメント異常と機能障害や能力障害の関連性は未だ明確ではありません。

今後のさらなる研究に期待したいところです。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。