関節の最終域感を感じ取る

関節を最終域まで動かすと、何かによって動きが制限される感覚があります。

これを最終域感(end feel)といいます。

この最終域感を引き起こす要因には、関節包、靭帯、腱、筋が関与し、脊髄損傷や末梢神経麻痺あるいは中枢神経障害などの筋緊張異常状態では、最終域感が正常と異なります。

正常関節の最終域感は主に5つの種類があります。

軟部組織性最終域感、拮抗筋性最終域感、主動作筋性最終域感、関節包性・靭帯性最終域感、骨性最終域感です。

軟部組織性最終域感は、例えば肥満者の股関節屈曲における軟部組織による柔らかい感覚であり、関節周囲の軟部組織や筋腹が関与します。

拮抗筋性最終域感は、膝伸展位における股関節屈曲動作でのハムストリングスの緊張などのように拮抗筋の短縮や過緊張による感覚であり、拮抗筋の伸張による痛みが伴います。

主動作筋性最終域感は、膝屈曲位における股関節屈曲動作などでのいわゆる詰まる感覚であり、股関節屈筋群への圧迫による痛みが伴います。

関節包性・靭帯性最終域感は、MP関節伸展時における関節包の緊張、前腕回外時における橈骨や尺骨の掌側手根靭帯の緊張などのような軟部組織の緊張感が存在する感覚を言います。

関節包や靭帯の肥厚化、短縮などにより可動域制限が生じているときにも同様の感覚が生じます。

骨性最終域感は、膝伸展時のように、互いに隣り合う骨が関節運動時に直接ぶつかり合い、動きを阻止する感覚です。

関節周囲の仮骨形成によっても同様の感覚が生じます。

ストレッチングや徒手療法、関節可動域テストなどにおいて、この最終域感を意識することは非常に大切だといえます。

各関節がどのような最終域形態を取るのか理解しておきたいところです。

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