原始反射と意志的運動

膝蓋腱を叩くと、反射的な膝関節の動きが見られます。

熱いストーブに触れると敏速な反射的な四肢の逃避運動が起こります。

このような反射活動は「自動的に、または無意識になされる動き」と定義されています。

また反射活動は「受容、伝達、そして無意識に運動協調を助ける反応よりなる全ての神経学的過程」とも定義されています。

通常、反応というものは、中枢神経系が外界や過去の経験などに影響され、刻々と変化します。

刺激が中枢神経系に入力されると、その反応は中枢神経系の状態に左右されるがゆえに、その結果引き起こされる反応は、定型的なものでもなければ、予想のつくものではなくなります。

しかし、このような反応の土台には原始的な反射運動が存在しており、原始反射はほとんどすべての意志的運動の基盤になっているとも考えられています。

ある学者は、運動を「反射によって機能的に繋がったもの」と考え、知能を「中枢神経系の統合された機能的活動と、環境との相互作用に修正を受ける単純な反射からなる」と語っています。

さらに、反射は意志による運動を構築するうえで必要な材料だと考えられています。

つまり、運動を一から構築するよりは、すでにある「反射」という材料を用いて運動を構築するほうが機能的であるということが言えます。

反射活動が原始的なものから高度なものへと変化しているように、中枢神経系はある反射を意志的な運動の構築のための完成された材料としてうまく用いて複雑な運動制御を簡素化しようとしていると考えることがわかります。

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