膝関節周辺防御機構とは
膝関節は骨の形状よりも、軟部組織による制御を受けて安定性を得ます。
通常、足部は強い力で地面に接しているため、これらの軟部組織は筋や外部環境の両方から大きな力を受ける対象となります。
そのため、これらの軟部組織を補強するため関節周辺防御機構が存在しています。
膝の関節周辺防御機構は、主に3つの靭帯組織系によって構成されます。
内側側副靭帯(MCL)、外側側副靭帯(LCL)、そして後方関節包線維構成体です。
MCLは115kg/c㎡の力に対抗できると言われ、この靭帯が断裂するまで12.5%の長さまで伸張できると言われています。
これに対してLCLの場合は276kg/c㎡と19%となります。
したがって、MCLに比べLCLの方がはるかに強靭で弾力性に富んでいることになります。
後方関節方線維構成体は、内側顆状板と、種子骨のある外側顆状板そしてその補強組織で斜膝窩靭帯と弓状膝窩靭帯からなります。
これらの組織に加えて、4つの腱鞘からなる構成体が存在しますが、これらも強靭さとその重要性に関しては前述の構成体と同様であると言えます。
前内側線維腱鞘、後内側線維腱鞘、前外側組織腱鞘、後外側組織腱鞘とがありますが、その中でも最も重要なものが後内側線維腱鞘であると言われています。
後外側線維腱鞘は後内側のものと比べると強靭ではありません。
一方、前外側線維腱鞘は、広筋膜によって構成されます。
広筋膜は膝蓋骨の外側縁へと広がり、大腿四頭筋の外側部分を形成する外側広筋の線維の一部へとつながります。
これに対し前内側線維腱鞘は、他の広筋群から伸びた線維によって構成され、膝蓋骨の内側縁に付着している縫工筋腱からの線維によって補強されています。
またこれらの関節周囲筋が膝の関節周辺防御機構に関与しています。
靭帯は他動的にのみしか反応できないため、予期しうる外部ストレスに前もって対抗する手段を他に持っていなければなりません。
関節周囲の筋群は、外部ストレスに対して協調された筋収縮を行うことで、関節の機械的な歪みに対抗します。
これらの筋の中で最も重要なものが大腿四頭筋であり、この筋の働きなしには膝の安定性は得られません。
大腿四頭筋はその筋力やタイミングの良い働きにより、靭帯の弱点を代償するのです。
ではまた。
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