名牝の子は名馬か

競馬の世界には名牝の子は走らないという通説があります。

つまり、現役時代強かった牝馬は親としてはあまり成績が良くないことが多いということです。

サラブレッドの世界は「血統が全て」と言われますが、人間の世界ではどうでしょうか。

人間のスポーツの世界では、必ずしも子どもが親と同じ道に進むとは限りませんが、有名選手のその子どもが活躍していることがたくさんあります。

サラブレッドほど血筋は重要ではないのでしょうが、少なからず影響を与えているのかもしれません。

実際、α-アクチニンというタンパク質を作り出すACTNという遺伝子がそれに近いものではないかと言われています。

α-アクチニンは、アクチンを支える働きを持つ調節タンパク質の1種で、骨格筋には、α-アクチニン2とα-アクチニン3の2種類があります。

このうち、α-アクチニン3は、骨格筋のうち、瞬発力をもたらす速筋線維の細胞内で多く作られるため、とりわけ瞬発力を要求される運動能力に重要であると考えられています。

ある研究では、全世界で10億人ほどがこのα-アクチニン3の働きを失っていると推定されています。

これまでの調査では、いわゆるトップアスリートとよばれるスポーツ選手では、そうした人の割合が少なく、両親由来の2つの遺伝子が完全なα-アクチニン3を作れるタイプである割合が高いという報告があります。

すべてのトップアスリートがそうであるとは言えませんが、こうした疫学的調査から、トップアスリートとα-アクチニン3タンパク質には、ある程度関係が有ると考えられています。

とはいえ、すべてのアスリートがそうであるとは言えませんし、これらの遺伝子が正常であるから必ずアスリートになれると断言することはできません。

ではまた。

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