膝関節のキー「膝窩筋」について考える。

膝関節の「鍵(キー)」である膝窩筋について考えていきます。

膝窩筋は、大腿骨の外側顆・外側半月の後方に起始し、脛骨の後面に停止する膝関節の内旋・屈曲筋ですが、なぜこの筋が膝関節のキーとなるんでしょうか。

これについてお話しする前にまず、膝関節の伸展機構であるスクリューホームムーブメントについて触れましょう。

膝関節は完全伸展位において、関節適合性が最も良く安定に適した肢位になります。

これには、膝関節の最終伸展域から30°くらいの範囲で約10°ほど脛骨の外旋が起きなければなりません。

この働き全体がスクリューホームムーブメントです。

脛骨の伸展と外旋が合わさることで関節面の接触面積が最大になり、膝関節は安定します。

このときの安定した状態を指して、膝関節にロックが掛かっていると形容することがあります。

ロックは骨の形状、靭帯の緊張、筋の牽引によるものですが、ロックの解除には膝窩筋が貢献します。

つまり、膝窩筋はロックを解除するキーになるというわけですね。

ではどのようにロックを解除するのかというと、膝窩筋の働きを考えれば見当がつきますよね。

膝関節を内旋させることでロックを解除すると。

でも、というわけでもないんです。

確かにそう言えばそうなんですが、下腿が自由になっているか、または固定されているかによって少し様相が変わります。

下腿が自由になっていれば、つまり何も固定されていなければ、「大腿骨上を下腿が内旋」することでロックは解除されます。

しかし、例えば立位のように下腿が十分に固定されていれば、「下腿上を大腿骨が外旋」することでロックは解除されます。

つまり相対的な内旋ですね。

ここを見誤ると評価が難しくなるので注意が必要です。

なぜ膝窩筋なのかの理由には、伸展位でのデザインもあります。

その他の膝関節の屈筋は伸展位において、ほぼ垂直になるようにデザインされています。

つまり回旋方向の運動を起こすためにデザインされていないんですね。

それに対して膝窩筋を見てみると、その斜め方向の走行によって回旋方向に運動を起こすポテンシャルエネルギーを持っているというわけです。

だからこそ、「膝窩筋は膝関節のキーである」と考えられるのです。

合わせて、「膝関節の骨形態を考える」と「正常膝関節における特徴的な運動パターン」を読み進めると更に理解が深まると思います。

トリガーポイントもあるようです。

ではまた。

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