呼吸に関わるニューロン群
呼吸は生まれてから死ぬまで止まることなく続きます。
ヒトが呼吸運動を始めるのは胎生11〜13週であり、脳幹が自動的に呼吸運動を生成させます。
呼吸の主たる目的は、肺を換気し血液中の酸素、二酸化炭素、pHのレベルを制御することであって、これらが正常の水準にあることは生存に欠かせません。
呼吸運動には、横隔神経の活性化による横隔膜の収縮が必要です。
必要時に補助呼吸筋が横隔膜を助けますが、これには肋間筋、咽頭筋、頸頭筋の一部、挺舌筋、そして顔面筋の一部も含まれます。
呼吸活動は、他の神経系から隔絶されても延髄によって生成されます。
延髄には呼息や吸息と相関する発火パターンをもつニューロンが数多く存在します。
吸息の早期あるいは後期にしか発火しない、より複雑なパターンをもつニューロンも存在します。
これらの呼吸ニューロンは2つの領域に集中しています。
背側呼吸ニューロン群は、孤束核腹外側部の内部や周囲に両側性に位置し、肺の伸張受容器や末梢化学受容器からの入力を含む呼吸感覚入力を受けます。
背側呼吸ニューロン群のニューロンは、高容量で肺膨張を促進する反射や酸素濃度低下に対する反応に関わります。
腹側呼吸ニューロン群は疑核の内部や周囲にあるコラム状にならぶニューロン群であり、呼吸の運動出力を調節しています。
これらのニューロンのいくつかは運動ニューロンであり、軸索が脳を出て迷走神経を介し補助呼吸筋を支配します。
腹側呼吸ニューロン群の吻側部、すなわち前ベッツィンガー複合体と呼ばれる領域にある延髄呼吸ニューロンは、呼吸リズムを生成する神経回路網の重要な構成要素です。
正常動物でこの細胞群のニューロンを選択的に急速に死滅させると、動物は正常の呼吸リズムを維持できなくなります。
しかし傍顔面神経核ニューロン群のような、延髄の他の領域もまた呼吸リズム生成に寄与しています。
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