関節と靭帯

筋が充分に機能しない時、関節には不自然なストレスがかかります。

この不自然なストレスにより微細損傷や摩擦が生じ、結果として関節がこわばり、不充分なフィードバックにより筋組織に必要以上の負荷が生じることとなります。ダメージを受けた関節は、筋の抑制、防御性の筋収縮、筋のアンバランスを生じる可能性があります。

関節のスティフネスは、傷害や関節の不活動の副産物である可能性もあり、また関節の安定性を高めようとした結果2次的に生じる可能性もあります。酷使された手掌部に胼胝が形成されたり、酷使された関節にスティフネスが生じるのと同様に、姿勢や身体活動により結合組織にストレスが生じた場合、組織を保護するために組織が厚くなることや硬くなることがあります。関節にスティフネスがあると筋の疲労や損傷が生じますが、生活様式や日常生活が原因で生じたことだと認識せずに、関節の老化のせいにしたりします。

その他に、筋機能を補う組織として靭帯があります。

靭帯は、関節や関節包の整合性を担います。靭帯と関節包は単一ユニットとして、身体の他の組織から関節自体を分離するように関節を覆っています。関節包内は軟骨面の接触部分が関節液で満たされており、関節液は関節軟骨への栄養の供給や、摩擦を減少させるための潤滑油としての役割も担っています。

関節の中でもより多くストレスを受ける部分は関節包が厚くなっており、この関節包の肥厚は靭帯に関係がある場合もあります。

靭帯の中には関節包に付着しているものや、運動中に関節の回旋中心が逸脱しないように関節を保持している帯状のものもあります。

靭帯は力学的な役割だけではなく、フィードバックも行っています。靭帯は筋のような収縮能力は有していませんが、靭帯に隣接する筋の収縮に大きな影響を及ぼしています。

靭帯に存在する受容器は、意識下で生じる反射運動の一環として、筋を収縮させたり弛緩させたりしています。

一般的に、靭帯がストレスを受けると、自動的かつ急速に、ストレスを減じさせるための信号が生じます。靭帯にストレスが生じると、靭帯へのストレスが減少する方向に関節を動かす筋(主働筋)の活動が助長され、同時に靭帯へのストレスが増加する方向に関節を動かす筋(拮抗筋)の活動が抑制されます。

靭帯は、ストレスがかかりうるすべての方向に配置されています。靭帯自体の保護作用の結果として、靭帯は関節の整合性の保護や維持に役立っています。

直接的な衝突や接触により、靭帯の強度よりも大きな力が加わった際に、靭帯は損傷します。また、スポーツでの非接触型損傷のように、身体外部からの直接的な接触がなくても

靭帯は損傷することがあります。

疲労だけではなく、不良な動作パターンも靭帯損傷に関与しています。

一見すると正常な動作であっても、可動性や安定性が低下していると、靭帯に不自然なストレスが加わります。問題のない通常のエクササイズが身体活動のようにみえても、可動性や安定性に問題があると、わずかな代償が生じます。この代償運動は、剪断力やアライメント不良を生じさせ、靭帯や関節にストレスを与えます。

これらのストレスによって筋機能が低下し、関節の可動性や安定性にさらなる問題が生じる可能性があります。また、代償運動を反復することにより、エネルギー消費の増加や筋コントロールの低下をもたらす可能性もあります。

靭帯と関節包は、関節の保護や安定性に寄与しているだけではなく、関節の位置や運動の方法、運動の速度を感知する神経系にも貢献しています。

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