貧血になるということ

世界保健機関(WHO)によると、「血液単位容量あたりのヘモグロビン濃度の減少」のことであり、成人男性では血中ヘモグロビン濃度が13g/㎗未満、学童や成人女性では12g/㎗未満の状態を指します。ヘモグロビンは血液を流れる赤血球に含まれており、赤血球重量の約34%です。数でいうと、1個の赤血球の中に約2800万個含まれていることになります。

ヘモグロビンに酸素が結合し、その酸素が血液によって全身に運搬されますので、血中ヘモグロビン濃度の減少はそのまま各組織への酸素供給量の減少になります。1gのヘモグロビンは、約1.34㎖の酸素と結合します。

貧血になると、安静時の酸素消費量に匹敵するぐらいの酸素をすでに失っていることになる。

成人男性の平均ヘモグロビン濃度が15g/㎗程度、肺でのヘモグロビン酸素飽和度が98%程度ですので、通常は、血液100㎖あたり酸素を19.7㎖運搬していることになります(1.34×15×0.98)。それよりも20%減少すれば確実に貧血ですが、仮にヘモグロビン濃度が20%減少すれば、酸素運搬量は約4㎖/㎗減少していることになります。4㎖/㎗といえば、血液が体内を1周すると減少する酸素量にほぼ等しいので、貧血になると、安静時の酸素消費量に匹敵するぐらいの酸素をすでに失っていることになります。酸素の薄い環境で運動するのと同じ環境となり、呼吸数(換気量)が増加します。つまり、貧血になると、いつもの運動がよりしんどくなってくるのです。

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