脂肪の悪者説は本当か?

ヒトの身体の脂肪、脂質には物理的な役割と科学的な役割があります。脂肪は悪者というイメージが多いかもしれませんが、、実際のところは細胞膜を構成しているリン脂質があり、他にも血中コレステロールやホルモンのもとになるような形で役立っているものもあります。そういう意味では脂肪はむしろなくてはならない物です。

必須脂肪は、およそ3~5%程度、女性は8~12%程度。

必須脂肪は、およそ3~5%程度、女性は8~12%程度が必要と言われています。それより少ないと身体に害があるともいわれています。それに加え、身体には皮下脂肪や内臓脂肪といった形の脂肪組織があり、物理的なクッションや断熱材、飢餓などいざというときの緊急時のエネルギー源として貯蔵されています。また思春期の子どもたち、とくに女の子はある程度の体脂肪が貯蓄されていなければ初潮がきませんし、月経サイクルを維持するためにもある程度の脂肪が必要です。そういった意味では第2次性徴が始まった思春期の女子に危惧されるのは、「脂肪がついてはいけない」といった周囲の減量行動に感化され、脂肪がつかないといけない時期にもかかわらず不必要な減量行動によって増えなかったり減ってしまったりすることは、将来的に健康を害することになるという懸念材料もあります。

生物学的に必ず無くてはいけない脂肪。

一般的に成人であれば、体脂肪は男性では10~25%が標準、女性では20~30%くらいまでが許容範囲といわれています。男性は腹部に内臓脂肪として蓄積される傾向があり、これをリンゴ型肥満、あるいはアンドロイド型とも呼ばれています。一方で、女性は腰やふとももに皮下脂肪として蓄積されやすいといわれ、これを洋ナシ型肥満、またはガイノイド型といいます。この違いはなぜ起きているのかというと、脂肪が断熱材の役割を果たして子宮内の赤ちゃんの環境を一定に保つとか、母親が転んだり何かがお腹に当たったりしたときに物理的なクッションとして子宮内の赤ちゃんを守る役割を果たしているのではないかと考えられています。イメージ先行で悪者扱いの脂肪ですが、このように考えると生物学的に必ず無くてはいけないものということがわかるはずです。

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