高齢者における足部での姿勢制御機構

高齢者における姿勢の特徴として、加齢変化とともに脊柱の後弯をを呈する割合が高く、脊柱の後弯姿勢では骨盤後傾、膝関節屈曲、内反変形を伴うことが多くなるとされています。脊柱後弯姿勢では、足圧中心(COP)、身体重心(COG)が後方化し、COP、COGともに前方移動しづらくなると言われています。

足関節制御(ankle strategy)ではなく、股関節制御(hip strategy)

高齢者における姿勢制御機構と若年者における姿勢制御機構は少し違います。高齢者では、若年者に比べ外乱に対する立位姿勢保持能力が劣り、若年者の姿勢制御では足関節の役割が大きいのに対して、高齢者の姿勢調節は股関節の役割が相対的に大きくなるとされてい¥るのです。すなわち、高齢者では若年者が行うような足関節制御(ankle strategy)ではなく、股関節制御(hip strategy)が優位な静的姿勢調節を行っていることになります。さらに高齢者の歩行の特徴をまとめると、前足部の足底圧の低下、歩幅・股関節伸展角度の減少、股関節屈曲角度の増加などが挙げられています。

感覚入力系や骨格筋系、効果器などの出力系が要因にも

このようなことからも、高齢者では静的・動的姿勢調節とともに前方に対しての足関節制御(COPの前方移動)を発揮しづらく、股関節制御に依存する形での動作を行う身体状況であることがいえます。このような姿勢制御には、視覚、前庭迷路、体性感覚などの感覚入力系や骨格筋系、効果器などの出力系などの様々な要因が関与すると考えられます。姿勢制御のトレーニングを行う場合、特に高齢者では加齢に伴う足底の体性感覚の低下や筋出力の低下などの影響で足関節制御を発揮しづらいという特徴をいかに改善させていけるかがポイントとなっていくでしょう。

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