企業・あるいは経営者にとって、健康問題に関連するコストとは医療費だけではなく、医療費の他に労働生産性に係わる損失としてアブセンティーズム(病欠)やプレゼンティーズム(何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状況)による損失もコストと考えられます。

したがって、健康向上のアウトカムを医療費だけにおくのではなく、労働生産性の評価も加え、健康施策について検討していくことが重要です。

仕事ができる人は、その仕事の目的を明確にして、達成するための計画を立て、修正しながらも効率的に行動することができます。このような能力を一般的には「遂行機能」といいます。
また、会議では、多くの情報を得ながら、同時に処理をして仕事の方針を決定しなければいけません。このような情報の保持と処理を同時に行う能力を「ワーキングメモリ(作業記憶)」といいます。
さらに仕事では多くの困難に直面します。そのときには柔軟に代替案や解決案を提示しなければいけない。このような能力を「認知の柔軟性」といいます。

 

 

筋トレは、遂行機能やワーキングメモリ、認知の柔軟性などの認知機能を高める。

難しい作業を効率的に行い、物事を適切に判断し、困難な場面で柔軟に対応するためには、遂行機能やワーキングメモリ、認知の柔軟性といった能力が必要であり、このような認知機能を高いレベルで発揮できる人が「仕事のできる人」になります。
実は、最新のスポーツ科学は、筋トレがこのような認知機能に与える効果について、一定の報告を示しているのです。

運動とパフォーマンスの関係性は日々解明されつつある。

運動と仕事のパフォーマンス

イギリス・ブリストル大学のJ.C.コールソン(2008)らの研究によると、仕事の合間に抜け出して運動(筋トレ・ヨガ・ランニングなど)を45分程度行うことで、タイムマネジメントや対人関係・メンタル、生産性のパフォーマンスが上がることが示唆されている。その他、ストレスに対する耐性やモチベーション、集中力にもポジティブな効果があることが示唆された。この背景には大脳前頭葉にある前頭連合野は社会性・創造性・計画性・モチベーションなど人間の主たる機能を司っていることが挙げられる。さらに前頭葉は運動にまつわる部位であり適度な運動を行うことは、前頭連合野の活性化にもつながる。

ストレスと脳の関係

B.ローゼンダール(2009)によると、ストレスは扁桃体や海馬、前頭前野に影響を及ぼし、認知変化、不安な行動増加、感情変化に繋がるとされる。
急激なストレスは海馬に作用して前頭葉に対して長時間の抑制を引き起こす。
これはストレスホルモンの糖質コルチコイドによるものだとされるが、慢性的な作用は海馬の萎縮や前頭前野の変性を招き、疾病へと繋がる。しかし一時的にストレス下にあったとしても、そこから速やかに回復することができればストレスを保持したり疾病に移行することが少ないと考えられる。

運動とストレスの関係

運動は身体にストレスを与えるものだが、運動によって与えられるストレスはポジティブな効果を引き起こすことがある。
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分のジョギング程度の運動は強力な鎮静効果のある神経伝達物質カンナビノイド系の放出を促し、ストレス解消に役立つ。(Angelique Brellenthin 2017)
高強度の運動も同じ強力な鎮静効果をもつβエンドルフィンの放出を促し、ストレス解消に役立つ。(Tiina Saanijokiet 2018)

日頃からストレスに晒されている人は心疾患・うつ・不安症のリスクが高まるとされている。
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日に2時間の中~高強度の運動、低強度の運動を数時間行っているタンザニアのハヅァ族には心疾患・うつ・不安症が全く出ないと言われている。(David A Raichlen 2017)
日頃から運動を行っている人を、一転2週間のあいだ座りっぱなしの生活に変化させたところ、不安や疲労感や敵愾心が強まったことが分かった。(RomanoEndrighi 2016)

男性更年期と運動の関係

40歳以降から現れる男性更年期障害は、睡眠障害や抑うつ、倦怠感、イライラや物忘れなどを招く。
これは男性ホルモンであるテストステロンレベルが低下することが原因であると言われている。
テストステロン減少の原因には筋肉の減少や脂肪の増加やストレスによる問題が考えられる。
トレーニングはテストステロンを上昇させるとともに筋肉量を回復させたり脂肪量を減少させる働きがあり、男性更年期障害からの回復のためにも欠かせない。

運動とテストステロン

順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学の川戸教授によると、脳の海馬(記憶を司る領域でストレスに弱い 前文参照)でもテストステロンの産生が行われることが分かっている。
ここで作られるテストステロンは、運動によって合成量を増やすことができ、やる気や記憶力に関わっているとされている。
したがってストレスを受けると海馬に悪影響が起こり、テストステロン分泌量も低下する。
反対に運動をすると海馬のテストステロン合成が増えるとともに、さらにストレス軽減にも繋がると言える。

運動と作業効率

柏原ら(2001)の研究によると適度な運動を行うことで、運動前に比べて文章作成時間の短縮効果が得られることが分かった。
大森ら(2011)の研究では中強度の10分および30分間のジョギング行うことで、計算作業成績が向上するが、10分間のほうがその効果が持続すると報告されている。
Ratey(2009)
によるとある高校のカリキュラムに0時限授業として始業前に朝の運動を取り入れたところ、健康効果だけでなく学業の成績が目覚ましく向上したことが報告されている。
運動は週に2回短時間で強度の高い運動を、残りの4日は中強度でやや長い運動を行った。
酸素消費が少なく技能を必要とし、体を動かしながら頭を使うような運動はより効果的であることが分かった。

「いいコンディションをキープし、それにより仕事で成功する」という結果を出したいから。これに尽きると思います。

人のコンディションは不調・普通・好調の3パターンだけ。不調が続けば病気になり、また好調が続いてもそのうち好調疲れを起こすので結局どちらも長くは続かないものです。

コンディショニングとは、ざっくりいえば「普通の状態に戻すこと」。

最高の体調とは、端的に言えばムダな不調がない状態。

普通に生活していれば、隣の席の人から風邪をうつされたり、突発的な頭痛に悩まされたりすることもあります。ですが、バランスのいい食事をして、意識して睡眠時間を確保していれば、慢性的な疲れなどのムダな不調は防げるもの。

最高のパフォーマンスを出そうという話になると、作業の圧縮方法を学んだり、集中力を高めるための工夫をしたり、テクニカルな努力をしはじめる人が多いですが、そんなことをする前に、まずは不調や不調の原因を取り除き、最高のパフォーマンスを出せる「ベース」を整えるべきです。

付け加えると、コンディションが悪いときでも一定のクオリティをキープしている人は信頼される。このベースを引き上げるのもビジネスコンディショニングには不可欠なものになります。

 

健康を決めるのは日々の「選択」です。

小さな正しい選択を積み重ね、好循環をつくり出すことで、もっと元気になれるし、寿命も延ばせます。

健康で長生きするには、どのように食べ、動き、眠るのがよいのかを実践していくべきです。

そのすべてのサポートを身体の専門家集団であるフィジオがサポートして、最高のビジネスコンディションを実現します。

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