イメージとは脳の中で作り出される映像です。
人間の脳は右脳、左脳に分かれていて左脳は論理、計算といった系統だった物事を処理し、右脳はイメージや空間認知を司っています。
人間には想像力が備わっていますから、この想像力を活用すればイメージ映像を無限に作り出すことが可能になるわけです。
イメージ映像は経験したことはもちろん、自分が経験していないことでも描くことができます。
これは、脳がイメージをするために、過去の類似した経験の引出しをさがし、それを応用して描こうとするイメージ作りの手助けをします。
イメージには自分自身が作り出すイメージ(試合展開をイメージするのに役立つ)と、VTRなどの教材の映像を用いることで作り出すイメージ(個人の技術面を向上させるのに役立つ)があります。
五感から感情まで全てをイメージのなかで再現できるようになるまでは、かなりの訓練や努力も必要です。
あせらずに、いいイメージを毎日反復するなど、継続することが大切だと思います。
顔は覚えているが名前が出てこないということがよくあるように、脳が記憶している情報量は、文字や言葉よりも画像などのイメージのほうが圧倒的に大きいです。
また、そのイメージを実験と同じように記憶する力もあります。
このイメージの力を強めて能力アップをめざすのがイメージトレーニングです。
イメージのもつ力は大きなものがあります。
静かに座って目を閉じ、ある動作をイメージするとき、節電図などで測定してみるとその動作を行うための筋肉が微量ではありますが反応を示すそうです。
この筋反応はそのイメージがリアルであればあるほど大きくなります。
イメージの鮮明度の高さ=リアリティということが言えるのだと思います。
こう考えると鮮明度が、いかにイメージを行うときに大切かがわかります。
とはいっても、いきなり高度な技術をイメージしようとしても、イメージを鮮明に描ける力が欠けていたら効果は半減してしまいます。
最初は、手のひらに重いものを持っているイメージを持ち、だんだん手の平が火照ってくるのを体験するといった簡単なイメージからスタートさせてこの鮮明度を高めていきましょう。
鮮明度が高まってくると、ある動作をイメージするとき、それに付随する環境の感覚もリアルに感じられるようになります。
たとえば、夏の炎天下での暑さやむせかえるグランドの臭いや歓声など、あたかもその場所にいるかのようにイメージの中で体験できるのです。
ここまでイメージできるようになると、イメージトレーニングの効果は絶大になります。
初めて体験する出来事に遭遇すると、脳はどのようにそれに対処してよいかわからず混乱してしまうものです。
特に試合中にはそういったことがよく起こります。
しかし試合を通じて実体験できる経験数には限界がありますから、ここでもイメージの力を利用します。
つまり、試合中に起こり得るだろう場面をたくさんイメージすることによって、試合中の混乱を少なくするのです。
イメージの鮮明度が高まっていれば、かなりのリアリティを味わえますし、本番前にイメージでリハーサルしておけば、脳はその場面での解決法をしっかりと学習してくれています。
とっさの判断などにも有効だと思います。
とくに初心者などは、そのスポーツでの経験数が絶対的に少ない現実がありますから、イメージによって体験数を増やす必要性があります。
よく一流選手は経験数が多いので対処法もよくわかっているといわれます。
しかし何もせずにただ自分の実体験のみに頼っていると、一流選手との経験数の差は縮まりません。
この差をイメージを用いて縮めていくことは、最良の近道といえるでしょう。
ただ、何でもそうだと思いますが、イメージトレーニングでも1回やって終わりにするのではなく、心に焼きつけるくらい何度も繰り返し行う必要があります。