食後の眠気について考える。

企業にとって、従業員の生産性の維持・向上は重要なファクターです。

その中で、生き物としてどうしても抗えない「眠気」をどう対策するか、は大きな課題となります。

株式会社ビズヒッツ( https://bizhits.co.jp/ )が社会人500人に行った「仕事中の眠気対策に関する意識調査」によると、

  • 仕事中の眠気を頻繁に感じる人は28.6%
  • たまにある人が61.0%

あわせて89.6%の人が仕事中の眠気を感じています。

そのうち、44.2%は食後に眠くなり、31.2%は睡眠不足のとき、14.6%が単純作業をしている時、だそうです。

今日はこの食後の眠気について考えていきます。

食後の眠気はどうして起こる?

誰しも経験的に食後の眠気を感じたことがあるはずです。

この食後の眠気は未だハッキリと原因がわかっていません。

古くから、胃に血液が集中して脳に血が回らないからと言われていますが、脳血流量は厳密にコントロールされているためこれは誤りだと言えます。

また食事に伴って「鎮静作用をもたらすセロトニンの脳内レベルが上昇するから」という仮説もありますが、Sang Woo Kimらはこの説では、細胞外セロトニンレベルを低下させる高脂肪食や脳内セロトニンを低下させる高タンパク食がなぜ炭水化物の食事とそれほど変わらない食後の眠気を誘発するのかが説明できないと述べています(Sang Woo Kim , Byung In Lee 2009)

最近では、血糖値上昇に伴って睡眠-覚醒に関わるオレキシンニューロンの活動が低下するという理論もあります。

これは通常、結節乳頭体核などの覚醒中枢に対してオレキシンニューロンは活動維持をサポートしているため、オレキシンニューロンの活動低下により睡眠が誘発されるといった仕組みです。(Tsujino , Sakurai 2013)

別の仮説では、食べ物を消化する際に放出される神経活性物質が脳の睡眠調節中枢に作用するというものです。(Sang Woo Kim , Byung In Lee 2009)

これは腸管神経ペプチドの傾眠作用が観察されたことに由来するようです。

食後に腸管から神経ペプチドが放出されること、それに加えて満腹感も覚醒中枢を調節する領域を抑制することで傾眠が誘発されるとのことです。

腸管神経ペプチドは血中濃度とその効果が相関するとされており、食べ過ぎは避けた方が良さそうです。

食後の眠気を解消するために

食後の眠気を解消するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. 睡眠不足を解消すること
  2. 食べすぎないこと
  3. 10~20分の仮眠を取ること

です。

まず第一に食後の眠気は睡眠不足との関連が強いと言われています。

睡眠不足は、睡眠の欠乏と時間経過により徐々に蓄積する睡眠負債がより加速する状況であり、かつ睡眠不足に陥ることは体内リズムの狂いを生み出します。

体内リズムの乱れは、食事に対するブレーキを弱めてしまったり、糖分を多く求めたり、眠気が生じるタイミングに変化が起こります。

こうしたものを抱えたまま昼食を迎えることでより強力な眠気が生じる可能性が高まります。

したがって、なるべく普段から適度な睡眠を心がけましょう。

また、食べすぎないこともポイントです。

食事や血糖値に由来することが分かっている以上、食べ過ぎは禁物です。

血糖値だからといって糖質を抑えていれば良いというわけでなく満腹感や腸管ペプチドの影響があるとして脂質もタンパク質も同様に捉えていきましょう。

仮眠を取ることは有効です。

ただし日勤をしている場合、仮眠は20分以内に抑えましょう。

日勤従事者を対象にした仮眠の有効性の多くは10~20分の仮眠において示されているため、長時間の睡眠は避けましょう。

まとめ

食後の眠気は、

①睡眠不足が影響すること、②昼食内容とその摂り方も影響すること、③食べること自体が眠気を誘発すること

が分かりました。

体感的にも何となく腑に落ちるものではないでしょうか。

その改善には、

①日頃からよく寝ること、②食べ過ぎないこと、③適切な時間の仮眠を取ること

といったような方法で対処してみてはいかがでしょうか。

当社も従業員の休憩室にはベッドを設置しており、積極的な仮眠を推奨しています。

身も心もリフレッシュして作業に取り組めると好評です。

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