SSC(Stretch-Shortening Cycle)と下肢ステイフネス |フィジオ福岡 ジャンプ力向上を考える

運動を学んでいるとよく出てくる「伸張反射」。
神経生理学的に言うならば、筋は強制的に伸長すると収縮要素の力-速度の特性に変化が生じることが示されていて、その後に続く短縮性収縮では伸長反射によって筋力が増大されることが報告されています。
つまり「伸長反射」とは筋肉が反射的に収縮する力のことをいいます。

SSC(Stretch-Shortening Cycle)

現象的に「伸張反射」を考えてみると、筋紡錘とその他の筋骨格系の感覚器官が筋肉の伸長を検出しそのインパルスが脊髄に送られ、より強い収縮を起こすためにインパルスが反射的に脊髄から筋へと戻される現象になります。
例えばですが、ジャンプ動作においてもこうした「伸長反射」による爆発的な筋収縮力が利用されています。
また、力学的なモデルからジャンプ動作を考えれば、筋はエクセントリックな活動中に貯蔵した弾性エネルギーをコンセントリックな局面で放出して、この切り返しが遅い場合は筋は弾性エネルギーを熱として放出し散逸し、切り返しの時間が短いほど弾性が増長されるといわれています。
走行やジャンプ等では、求心性収縮の直前に遠心性収縮をすることで、筋や腱に弾性エネルギーを蓄積し、そのエネルギーを利用することで純粋な求心性収縮よりもパワー出力を高め、運動効率を向上させているのです。
この筋活動様式を利用する機能はSSC(Stretch-Shortening Cycle)と呼ばれています。

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SSCを効率的に利用するためには適度な下肢のスティフネスが重要と考えられています。
下肢のスティフネスとは、下肢全体をバネととらえて算出される硬さを示す指標のこと。
スティフネスが高いと「硬いバネ」で、低いと「柔らかいバネ」であることを意味しています。
先行研究では、下肢のスティフネスとジャンプパフォーマンスとの関連性が調べられており、スティフネスを適度に高めることでパフォーマンスは向上するとされています。
これはジャンプの予備動作としてしゃがみ込んだ時を考えれば、下肢を硬いバネとして使えるほど高く跳べることを意味しています。
また、スティフネスに関してはジャンプパフォーマンスと股関節スティフネスにも相関関係が報告されており、股関節の剛性を適度に高めることがジャンプパフォーマンスにおいて必要ということも示唆されています。
このように考えると、柔らかさだけではSSCが効率的に発揮されないということにもなります。
効率的にSSCを利用するためにも、適度が剛性を持つようにトレーニングしていくことが求められるということですね。

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