テニス肘について考察する。|フィジオ福岡 テニス肘の考察

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは、テニスプレーヤーに最も頻繁に起きる肘関節のスポーツ障害です。
テニスプレーヤーの約半数がなってしまうといわれていて、再発の多い障害でもあります。
ウォーミングアップが不十分だったり、不適切なラケットやボールの使用、プレースタイルが関与していると考えられます。

テニス肘は外傷性の腱付着部症であり、腱・靭帯の付着部に使いすぎによる反復的な微小外力による過負荷が大きな原因。

発症は急激で、ミスショット時やバックハンドストローク時に多くは起こります。
病態については多くの説がありますが、テニス肘は外傷性の腱付着部症(enthesopathy)であり、腱・靭帯の付着部に使いすぎによる反復的な微小外力が繰り返しかかり、この時間的、力学的な過負荷が大きな原因となります。
主に短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて生じると考えられています。
この短橈側手根伸筋は手首(手関節)を伸ばす働きをしています。
その他、長橈側手根伸筋(手首・手関節を伸ばす働き)や、総指伸筋(指を伸ばす働き)も関与しています。

テニス肘は、以下の3つの徒手検査が一般に用いられていて、いずれの検査でも肘外側から前腕にかけての痛みが誘発されたら、テニス肘と診断されます。

1. Thomsenテスト

検者は手首(手関節)を曲げるようにして、患者は肘を伸ばしたまま検者の力に抵抗して手首(手関節)を背屈させます。

2. Chairテスト

肘を伸ばしたまま、前腕回内位で椅子を持ち上げます。

3. Middle finger extention(中指伸展)テスト

検者が中指を上から押さえるのに抵抗して、患者は肘を伸ばしたまま中指を伸ばします。

治療の基本は、まず保存療法(安静・アイシング・薬物療法・注射・物理療法・ストレッチング・筋力強化訓練など)を行います。
一般的には治療の内容に関わらず、治療を開始してから、6ヵ月以内に9割は改善がみられるという報告が多いようです。
保存療法に抵抗して改善しないものに関しては、手術(筋膜切開術、切除術、前進術、肘関節鏡視下手術など)の検討が必要になります。

テニス肘にはストレッチングと筋力強化訓練を行う。

物理療法では、腱付着部の血流と柔軟性の改善を目的として、超音波・低出力レーザー・電気治療・鍼治療などを行います。
単独使用で臨床的に効果が期待できるといえるのは、超音波治療です。
理学療法では、ストレッチングと筋力強化訓練を行います。
ストレッチングは、前腕伸筋群の筋緊張と短縮を防いで柔軟性を改善する目的で行います。
肢位は肘関節伸展位、前腕回内位で手関節を掌屈していきます。
ストレッチングは、ゆっくり息を吐きながら反動をつけずに(スタティック・ストレッチング)痛みを感じないレベルで、前腕伸筋群を意識しながら行います。

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プレーに復帰した後も、コンディショニング維持、再発予防のために行いましょう。
しかし、プレー直前に長時間のスタティック・ストレッチングを行うと逆に筋の能力を低下させるといわれているので、短時間にとどめる必要があります。
筋力強化訓練は、肘関節伸展位、前腕回内位で手関節を最大背屈した状態を保って、関節運動が生じないようにしながら、まずは等尺性運動から始めます。

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等尺性運動を行っても疼痛が悪化しなければ、徐々に等張性運動を開始していきます。

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テニスへの復帰のタイミングは、疼痛誘発テスト(前回紹介したThomsenテスト、chairテスト、middle finger extentionテスト)で疼痛が緩和したところから、テニス肘バンドを装着し、まずは素振りから開始します。
素振りはフォアハンドストロークから始め、徐々にバックハンドストロークを行っていき、疼痛が出現しないことを確認しながら、徐々にプレーを再開していきます。

プレー中に痛みが出た場合は、すぐにプレーを中止すべき。

プレー中に痛みが出た場合は、すぐにプレーを中止します。
また、疼痛が強く日常生活上の制限が強い場合は、まず安静にする必要があります。
疼痛が強い場合には、上腕骨外側上顆に付着する短橈側手根前腕を含めた伸筋群の安静を保つために、cock up splint(手関節を軽度伸展位に固定する装具)を装着します。
肘関節自体をギプスなどで固定してしまうと、二次的な筋委縮や関節拘縮を引き起こす可能性があるので、好ましくないといえます。
テニス肘バンドも、前腕伸筋群起始部のストレスを軽減するには効果的です。
筋収縮が筋腱の起始部に直接伝わるのを緩衝する目的で使用します。

テニス肘バンドは、急性期を過ぎたくらいには日常生活動作に対して使用し、慢性期・回復期にはテニス復帰へのステップアップ動作に対して使用します。
局所の炎症を改善させるためには、アイシングを行います。
炎症範囲は、さほど広くないので氷を用いたアイスマッサージが効果的です。
長時間のコールドスプレーの使用は、凍傷が生じる危険があるので、アイシングには不適当だといえます
急性期のアイシング時間は薬物療法として、非ステロイド系消炎鎮痛剤を服用したり、経皮吸収性の軟膏や貼付薬を使用します。
また、副腎皮質ステロイドホルモン剤と局所麻酔剤の局所注入が除痛効果としては最も期待できますが、頻回に行うと筋起始部の腱が脆弱となるので、やむを得ない場合のみ1ヶ月の間隔をおいて行い、2〜3回までにとどめます。
頻繁に局所注入を行ってしまうと、逆に治療効果が得られないこともあります。

まずは安静にすることが大切です。

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