運動中は、普段の生活以上のエネルギーが必要となります。
結果として、多量の糖質を消費します。
運動中には、筋活動による血糖の取り込みが亢進するので、血糖のみをエネルギー源として運動を行うと30分程度で低血糖になってしまうといわれています。
しかし、通常の運動(極端に長時間に及ぶ運動を除く)では肝臓に貯蔵されているグリコーゲンが分解され糖産生が増加するので、低血糖が起こることはほとんどありません。
肝臓での糖新生は、血糖を補充して運動を継続することを可能にするだけではなく、その産生量を調節して、運動中に変動する活動筋でのグルコース取り込み亢進にも適合し、動脈中のグルコース濃度の変動を最小限に抑えてくれます。
このようにして運動中の血糖は十分に確保され、運動を持続することができるのです。
運動後には、次の運動に備えて減少した筋グリコーゲンを補充しなければなりません。
運動直後は、グルコース輸送体が細胞内から細胞膜へと移動が活発化するので、筋細胞膜のグルコースに対する透過性が高まります。
また、細胞内のグリコーゲンシンターゼ(グリコーゲン合成を促進する酵素)活性が亢進するので、筋グリコーゲンは急速に補充されます。
この反応は運動後約1時間持続し、この間筋によるグルコースの取り込みには運動中と同様にインスリンが関与しません。
糖尿病患者に対して行われている運動療法は、この原理を利用して行われています。