眼はものをみるとき、光を受け取っています。
外からの光は、瞳孔の縮小と散大によって調節され網膜へと集まります。
網膜はいわばスクリーンのようなものです。
網膜全体には、光を受け取る「視細胞」が1億個以上も並んでいます。
デジタルカメラの画素数を決めるCCDに例えれば、網膜は1億画素を超えるわけです。
しかし、CCDにの画素の密度は一定なのに対して、網膜の視細胞の密度は一定ではありません。
網膜の中心部である、「中心窩」という領域で、最も高密度なのです。
そのため、視野の中央でなければ、細かいものは見えません。
中心窩を使ってヒトはどれほど細かいものが見えるかというと、眼のいい人であれば、「10m先にある1.5mmの切れ目」を区別できます。
これはいわゆる視力検査の視力2.0です。
ただし、高画質の要因は画素数だけではありません。
中心窩は、眼球の最も奥に位置する凹んだ部分になります。
そこには、「視細胞」、「双極細胞」、「神経節細胞」の3種類の神経細胞があり、互いにつながっています。
視細胞は極めて高密度で集まっているため、高い解像度でものをみることが出来ます。
視細胞は光を受け取ると電気信号を発生させます。
1個の視細胞からの信号は、伝言ゲームのように、まず1個の双極細胞へと送られて、つづいて1個の神経節細胞へと送られます。
つまり、3種類の神経細胞は、1:1:1でつながっているため、画質が粗くならずに送られることになります。
しかし、網膜の大部分の領域では、多数の視細胞からの信号が1個の神経節細胞に集まるため、画素数は減って画質が粗くなってしまいます。
他の動物では中心窩をもたなかったり、複数あったりしますが、哺乳類では霊長類のみが中心窩を持ちます。
また視力のよい動物の代表とされる鳥類ではその多くが中心窩をふたつもち、その凹みも深くなっています。
人間の眼は動物界からすると一般的ではないのかもしれませんが、眼を必要とする生活環境であったからこそ、こうして進化してきたのでしょうね。