関節の成長を制御する因子として考えられるのは、外的因子として力学的負荷が先ず挙げられます。
過大な荷重負荷が成長軟骨板の正常な成長を妨げる。
主力筋、拮抗筋、協力筋という関節の動きに作用する筋により各関節には決められた動きがもたらされます。
これらの動きに加えて、圧負荷が関節面を介してその深部にある成長軟骨板に伝えられることになります。
下肢の関節に関しては歩行開始によりさらに重力による荷重付加が加わります。
実際に、力学的付加がどのような機序でどの程度成長に影響を与えているのかは明らかになってはいません。
後に述べる過大な荷重負荷が成長軟骨板の正常な成長を妨げるという事実から、至適な力学的負荷強度域が存在することが予想されています。
関節の成長は、局所的な制御と遠隔操作による全身的な制御が瞬時に働いている。
一方、内的因子としてはホメオボックス(homeobox)遺伝子などによる発生の調節、ホルモンなどの内分泌による修飾・制御が考えられています。
このホメオボックス遺伝子などの内的要因を考えると、まず我々人間の体の中には、数十兆個にも及ぶ細胞が存在することから考える必要があります。
我々ヒトは、元々はひとつの受精卵から受け継いだ同じDNA情報を持ち、増殖分裂を繰り返しながら多様な細胞へと発生分化して環境に応答しながら生理機能を発現し、細胞老化やアポトーシスに向かうという一連の細胞生命活動が営まれています。
いろいろな性質の細胞が高度に統制された臓器を構築し、それらが集合してひとつの個体になるためには元の細胞の性質や環境の変化に応じて獲得した情報を細胞分裂の後でも正確に伝え維持する必要があります。
その仕組みがいわゆる「細胞記憶」です。
成長は特有の遺伝子発現プロファイルを空間的・時間的・細胞腫特異的に緻密にコントロールして行われるもの。
多細胞生物における特定の器官・組織へと分化した細胞が各々の役割を果たし機能していくためには、特有の遺伝子発現プロファイルを空間的・時間的・細胞腫特異的に緻密にコントロールして行く必要があるのです。
この遺伝子によってプログラムされた情報を基に発生分化・体軸形成に重要なHox遺伝子産物群は、胚発生初期に細胞ごとに働く遺伝子の組み合わせが決定され、転写因子カスケードの司令塔となり四肢の形成をはじめとした形態的形質を規定していると言われています。
関節の成長は、上記のような局所的な制御と遠隔操作による全身的な制御が瞬時に働いているということがわかります。