冬のほうが代謝が高いのはなぜ?|フィジオ福岡 代謝の科学

ほとんど多くの人にとって寒いより暖かいほうが良いでしょうが、代謝という点で考えると実は寒いほうが良かったりもします。代謝が上がる冬のほうが痩せやすいという話を聞いたことがあるかと思いますが、その一因となるのが気温になります。

「ふるえ熱産生」と「非ふるえ熱産生」

ヒトなどの恒温動物は寒冷環境でも身体の細胞や機能を正常に保つために体温維持のための熱産生を行っています。ヒトは寒いところではブルブルふるえますが、このように骨格筋をふるわせ熱を生み出すことを「ふるえ熱産生」といいます。これとは逆に骨格筋を収縮させることなく熱を生み出す「非ふるえ熱産生」というものもあり、この2つが寒冷環境下での体温維持に役立っています。このうち非ふるえ熱産生をしっかり働かせることで冬に痩せやすい身体を作ることが出来ます。

非ふるえ熱産生は、ほとんどがミトコンドリアを多く含む褐色脂肪細胞が中心となって起こります。ミトコンドリア内膜にはUCPというタンパク質が存在しており、そのUCPが非ふるえ熱産生に大きく関与しています。UCPはいくつか種類があり、褐色脂肪細胞に多く存在するもの、骨格筋に多く存在するもの、白色脂肪細胞に多く存在するものと様々です。その中で、褐色脂肪細胞に多く存在するUCP1はその活性要素に寒冷曝露があります。簡単にいえば、寒いところに晒すことでUCP1が活性化するということです。したがって、気温が低い冬はUCP1が活性しやすく、熱産生が生まれやすいということになります。

これを簡単にまとめると、「冬のほうが代謝が高くなる」という結論になるのです。

UCPの活性・発現条件

また、UCPの活性・発現条件は他にも、多食、ノルアドレナリンβ作用、骨格筋量増大など色々あります。骨格筋でいえば、骨格筋に存在するサルコリピンというタンパク質も非ふるえ熱産生に大きく関与しています。冬に運動をすることで痩せやすい身体を作ることが出来ます。UCPの活性には、PGC-1αといった体内時計や食餌行動を調節する遺伝子も関わっています。しっかり運動をして、生活リズムを整え、食事を三食摂ることで、真の痩せやすい身体は作られます。

まだ10月。遅くはありません。ダイエットを志すかたは今からでも頑張ってみてはいかがでしょうか。

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