アスリートにもよくみられる仙腸関節痛。発生の原因としては、転倒や臀部への直接の打撃力による外傷や片脚荷重動作の繰り返しにより、発生します。仙腸関節の不安定性、位置異常に起因していることが多く、特に女子選手に多いです。
仙腸関節部へのストレスを軽減するため、体幹・股関節機能の改善(柔軟性の向上・分離した動きの獲得)が基本
症状としては、体幹の運動(前屈・後屈・側屈・回旋)や股関節の運動、もしくは長時間の立位・座位により、片側の仙腸関節に限局した痛みが生じます。慢性的に痛みが生じていると下肢にまで症状が出る人もいます。画像による診断は困難です。治療としては、抗炎症剤の処方、リハビリテーションなど保存療法が中心となります。リハビリテーションとしては、仙腸関節部へのストレスを軽減するため、体幹・股関節機能の改善(柔軟性の向上・分離した動きの獲得)が基本となります。
1、ドローイン
仙腸関節の安定性を高める場合には、腹横筋の単独収縮が重要となります。
強くドローインを行うと腹横筋だけではなく腹斜筋群の活動も高まるため、逆に仙腸関節は不安定になります。
そのため、痛みの出る動作を行う場合には、軽度のドローインをした状態を保つように指導します。
2、股関節伸展運動
大臀筋が収縮すると仙腸関節の剛性が高まることは報告されています。
さらに筋線維の方向から、下部内側線維の活動が高まると仙腸関節は安定すると考えられるため、股関節が外転位にならないために、股関節伸展運動を行うことを指導します。
仙腸関節痛は頻度の高い疾患になりますので気をつけてください。