鉄の摂取とその弊害|フィジオ福岡 栄養科学

女性のお客様と話をしていると「鉄分が不足している」といわれるお客様がが結構いらっしゃいます。
この鉄ですが、不可欠な栄養素ではありますが、その必要量は意外と少ないものです。男性ならば1mg以下、女性でも1.5mg程度しか1日に損失しないと考えられています。
しかしながら、鉄の吸収効率が非常に悪く、15%程度しか吸収されないため、1日の摂取量は10mg程度の摂取が必要となってきます。

貧血と持久力

一般的に鉄の摂取で予防できるものとして考えられているのは、貧血と持久力低下についてです。

たとえば貧血の予防では、そもそも体内では鉄を原料にしてヘモグロビンを生成しているという事実から、鉄が減少するとヘモグロビンが減少し、これが不足すると赤血球が減少して貧血が起こるというもの。
鉄と貧血の基礎の関係性ですね。

もう一方では、持久力の低下を予防することです。
赤血球数が減少すると、酸素運搬能力の低下をまねいてしまうことになります。そうなると低酸素の状態でいることになりますので、当然ながら持久性は低下してしまいます。
さらに骨格筋の酸素貯蔵の役割を持つミオグロビンにも鉄は必要になり、その意味からでも酸素貯蔵、酸素運搬能が低下するため持久力が落ちてしまうという考え方です

安易な鉄サプリの利用はNG?!

一般的に鉄不足といえば、「貧血」のイメージが付きまといますが、貧血だからといって鉄分を補給するのは一概に良いとはいえないでしょう。
なぜならば、鉄が十分であっても、葉酸やビタミン12が不足すれば貧血になってしまうからです。
本当に鉄不足から鉄分をサプリで補充するのはありかと思いますが、貧血の理由を考えずに摂取するのは控えたほうがよいかもしれません。

鉄分の過剰摂取は、たとえば中高年男性や閉経後女性においては、必要以上の鉄摂取は、フリーラジカルが生成してしまうリスクが高いともされています。
フリーラジカルは臓器などを攻撃し、DNAを損傷させるため、自覚なしに癌リスクなどを高めてしまうことにも繋がりかねません。

摂取量が多いからといってメリットが大きくなるわけでもないので、基本的に10mg程度も摂っていれば鉄不足になることも少ないのではないでしょうか?

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