アルコールによるパフォーマンスへの影響|フィジオ福岡 お酒の科学

「Asian Flush」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、飲酒をすると顔が紅潮する状態のことです。個人差はありますが、頻脈や吐き気を伴うことがあります。東アジア人の約40%がこの症状を示すと言われています。

アルデヒド脱水素酵素-2(ALDH2)

アルコールは、体内ではアルコール脱水素酵素(ADH)によりアセトアルデヒドになり、アルデヒド脱水素酵素-2(ALDH2)により酢酸となり、最終的には水と二酸化炭素に分解されて排出されます。
ALDH2遺伝子には多型があり活性型と不活性型に分けられます。不活性型はアセトアルデヒドを分解できないので、体内に蓄積されたアセトアルデヒドが肥満細胞からヒスタミンの放出を促し、血管が拡張することにより顔が紅潮します。不活性型ALDH2を持つ人は、活性型を持つ人と比べると飲酒後の血中アセトアルデヒド濃度が数倍もの高値を示します。

アセトアルデヒドは発ガン性物質であり、これが体内に蓄積するとガンのリスクが高まります。

米国ガン研究財団と世界ガン研究基金が「ガン予防15か条」を発表しており、そこには「お酒は勧められない、どうしても飲みたければ控えめに」と記されています。「控えめ」というのは、男性ならビールは1日2杯(500ml)以下、女性は1杯以下が目安になります。

実は、ALDH2遺伝子の多型には人種差があり、東アジア人には不活性型が多いものの、西ヨーロッパや中東、アフリカでは不活性型はほとんど存在しません。しかしながら、飲酒とガンのリスクにはなんらかの関連が見られ、その危険性は完全には排除できないといった報告があるため、お酒を飲んで顔が紅潮しないALDH2活性型の人であっても健康のためには飲酒は「控えめ」に、ということが言えそうです。

アルコールのスポーツへの影響

アルコールのスポーツへの影響ですが、「アルコール筋症」という症状があります。これは、アルコールを飲むと筋肉が分解される現象です。
筋力低下を伴い、骨格筋だけでなく心筋にも生じることが報告されており心筋の機能低下も伴います。これらの能力の低下は、パフォーマンスに影響することが考えられます。パフォーマンスアップのためにはアルコールの摂取は控えめにした方が良いでしょう。

以上のようなことから、過度な飲酒は身体に悪影響を与える可能性が高いので、飲酒は「控えめ」にしましょう。

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