座って仕事をするデスクワークは、現代社会において多くの人々が直面する生活スタイルの一つです。その一方で、多くの人が肩こりに悩まされています。肩こりの原因は多岐にわたり、骨や関節の摩耗や変形、筋肉の硬直、血行不良、末梢神経障害などが挙げられます。しかし、これらの中でも特に注目したいのが「噛み合わせ」の悪さが引き起こす肩こりです。
噛み合わせが悪いと肩こりにつながる理由
噛み合わせが悪い場合、咀嚼筋が過度に緊張することがあります。この緊張が、どのように肩こりに影響するのでしょうか?まず、咀嚼筋の働きについて見ていきます。
私たちは食事をするときに顎を動かしますが、この動きを担っているのが咀嚼筋です。この咀嚼筋を動かす指令は脳から送られており、正常に働くには筋肉、神経、関節の協調が必要です。しかし、噛み合わせが悪いと歯根膜の神経が異常を感知し、咀嚼筋がスパズム(不随意の痙攣)を起こすことがあります。
このスパズムが僧帽筋に伝わると、僧帽筋が硬くなり、血行が滞ります。その結果、痛み物質が蓄積し、肩こりが発生します。このように、噛み合わせの悪さは肩こりを引き起こす一因となります。
僧帽筋と肩こりの関係
肩こりの多くは、僧帽筋上部の緊張によって引き起こされます。デスクワークをしているとき、多くの人が肩関節内旋、肩甲骨外転・挙上、頭部前方突出といった不良姿勢を取ります。この姿勢が続くと、僧帽筋上部が常に緊張状態となり、筋肉が硬直します。
筋肉が硬直すると血行が悪くなり、痛み物質が蓄積します。また、硬直した筋肉が脊柱から出る末梢神経を圧迫することで、痛みや凝りがさらに増幅されます。このようなメカニズムが、肩こりを悪化させる要因です。
咀嚼筋と胸鎖乳突筋の関与
肩こりと咀嚼筋の関係だけでなく、胸鎖乳突筋も関与していることが知られています。この筋肉は噛む動作に関連しており、硬くなると噛み合わせを悪化させる要因となります。また、胸鎖乳突筋の緊張はフォワードヘッド(頭部前方突出)を助長し、肩こりをさらに悪化させる可能性があります。
肩こりを解消するための方法
噛み合わせの改善は、肩こりの解消に効果的な場合があります。しかし、それだけではなく、姿勢を整えることも重要です。特に僧帽筋上部が緊張している、いわゆる「怒り肩」の人は、適切なトレーニングによって改善が可能です。
姿勢を整えるトレーニング
姿勢改善のためのトレーニングには、以下のようなものがあります。
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肩甲骨を動かすエクササイズ
■肩甲骨周りの筋肉をほぐし、肩甲骨の動きを改善します。
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首と肩のストレッチ
■胸鎖乳突筋や僧帽筋上部を柔らかく保ち、血行を促進します。
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体幹を強化するトレーニング
■正しい姿勢を保つために、体幹筋を鍛えることが大切です。
日常生活での注意点
①デスクワーク時の姿勢に注意する。
②定期的に休憩を取り、体を動かす。
③適切な椅子と机の高さを選ぶ。
噛み合わせと姿勢を整えて肩こりのない生活を
肩こりは日常生活の質を低下させる厄介な問題です。
しかし、噛み合わせを改善し、正しい姿勢を保つことで肩こりを軽減できる可能性があります。
デスクワークで肩こりに悩んでいる方は、ぜひ噛み合わせや姿勢を見直し、適切なトレーニングを始めてみてください。
痛みのない快適な生活を手に入れる一歩を踏み出しましょう。