HIITはHigh Intensity Interval Trainingの頭文字を取ったもので、日本語に直すと高強度・短時間・間欠的トレーニングとなります。
HIITの最大の特徴は20秒間の高強度運動と10秒間の休息を8セット行うことで、4分という短時間で終わるところです。
HIITの最終セットは酸素摂取量が最大酸素摂取量に達し、総酸素借が最大酸素借と等しくなるので、有酸素性・無酸素性エネルギー機構に最大の負荷をかけることができます。
また、最大酸素摂取量と最大酸素借が大きく増加することがわかっているので、有酸素性・無酸素性エネルギー供給機構の機能も向上させます。
このような効果があるHIITですが、低酸素環境下で行うと効果は増加するのでしょうか?
低酸素環境下でトレーニングを行うと
低酸素環境下でトレーニングを行うと通常の酸素濃度環境下で行うトレーニングに比べ、高い効果があると報告されていますが、HIITでは高い効果があるのでしょうか?
HIITは総酸素借が最大酸素借と等しくなりますが、低酸素環境下と通常の酸素濃度環境下では差がないため、低酸素環境下でトレーニングを行っても無酸素性エネルギー機構に与える影響は少ないと考えられています。
ですので、HIITは無酸素性エネルギー機構の強化は通常酸素濃度下で行っても、低酸素環境下で行っても同じくらいの効果であると言えます。
その一方で有酸素性エネルギー機構ではどうなのでしょうか?
有酸素性機構の指標である最大酸素摂取量は低酸素環境下で低下することがわかっていますが、その程度は低酸素の度合いによって異なります。
高度4000m程度までは最大一回拍出量や最高心拍数は低下しないことによって、血液の酸素飽和度の低下による筋への酸素供給量の低下が起こって、最大酸素摂取量が低下すると考えられています。
簡単に言うと、心臓への負荷が高度4000mほどの低酸素環境では通常酸素濃度と差があまりないので、トレーニング効果に差がないと考えられます。
高度が5300m程度の低酸素環境ですと、一回拍出量や最高心拍数が低下するのでかなり心臓に負担がかかることになり、HIITを行うことによって通常環境下よりも効果が高まります。
これによって最大酸素摂取量が増加する可能性が高まります。
どのようにして最大酸素摂取量が増えるのか
トレーニングによって最大酸素摂取量が増える要因として、筋内のミトコンドリアの量が増加することによって筋の酸素取り込み能力が向上します。
筋のミトコンドリアの増加は、運動刺激によってPGC1αという転写活性化補助因子を増加させ、複数のタンパク質転写を活性化させる可能性が報告されています。
また、PGC1αというタンパク質の発現量の増加を引き起こす運動刺激はAMPKという酵素の活性化によると考えられています。
ですので、低酸素環境下でのトレーニングの方がAMPK活性の上昇の程度が高いとされているため、活動筋のミトコンドリアの増加が顕著に現れ、有酸素性エネルギー機構に与える影響が高いとされています。
有酸素的能力を向上させたいのであれば、低酸素環境下でのHIITは効率良いトレーニングだと言えます。