学生のトレーニング指導のお手伝いを現場でさせていただいていると、やはりもっと練習時間がほしい監督・コーチ陣とコンディショニングも含めたアップなどの時間がほしいトレーナーとで考え方が違うことがよくあります。
確かに練習させたい現場ときちんとトレーニング・ケアを踏まえたアップをさせたいトレーナー側とで意見がわかれるのはよく分かるし、どちらも勝つためにこうしたいって想いがあるからどちらが悪いとは想いません。
そもそもですが、アップに何を求めるかでかなり内容がかわるような気がします。
アップに何を求めるのか?
例えば、いわゆる身体組織を温めて練習する準備をするためだけを考えるなら5-10分しっかり走らせとけばOKなこともあるでしょう。
しかしながら、障害予防、高いパフォーマンスで練習させたい、適切な動作パターンを活性化させてから練習させたいなど、練習効率をより高めるためのアップとなると、生体力学的、動きの質、姿勢や関節アライメントの適正化など考えることがいっぱいです。
例えば、おそらくトレーナー的なアップだけでもこんなことを考えることができます。
①アライメント適正化と姿勢の向上
②関節滑液の粘性低下(関節がよく動くようになる)
③筋温上昇とそれに伴う柔軟性、組織伸長性の向上
④カテコールアミンの放出(これから動くぜっていうスイッチ)
⑤神経系伝達速度の増進
学校で授業受けて座りっぱなしの状態で練習したとすると、姿勢は崩れてるし、コアは抜けてるし、大きな筋発揮なんて日常にないからそれくらいは修正してアップせないかんねとなるわけですね。
そして意識してこれらを取り組むとやはり30分くらいはかかるかもと考えてしまいます。
レディネスな状態にあるかが非常に重要。
心理学用語にレディネスって言葉がありますが、日本語にして準備性。
学ぶために必要な条件や環境が整っている状態にあることをさします。
練習をさせる段階でこのレディネスな状態にあるかが非常に重要。
選手の身体環境が準備できてない状態でいくらスキルトレーニングをしても、根本的な技術強化はできないし、怪我のリスクも高まるもの。
こういうことを考えると、いきなりスキルの練習をするよりもきちんと身体をコントロールするような動作性を準備してから練習しなきゃと考えていくもの。
これがトレーナー的にウォーミングアップを大事にする理由なんじゃないかと。
ですが、実際に中学・高校の部活動などをみると本当に練習時間は短い。
ただでさえ練習時間が限られるから、時間管理は難しいところ。
現場の監督やコーチはそれを踏まえてどうやるかを判断されてるわけなので、我々としてはなるべくその要望に添える環境つくりをどうお手伝いするかがポイントですね。