アスリートの手関節捻挫は、プレー中に転倒して地面に手をついた際に発生することが多いです。
手関節に生理学的許容範囲を超える動きが要求された時に、その外力に耐えきれず関節支持組織である靭帯や関節包、あるいは滑膜が損傷します。
手関節捻挫は主に部分的な靭帯損傷を指しますが、どの靭帯が損傷しているかを確認できないことも少なくありません。
靭帯の部分損傷であれば、1〜2週間の局所安静で治癒しますが、過度なストレスを加え続けていると治癒が遅れることがあります。
症状としては、外傷性炎症症状として、発赤・熱感・腫脹・疼痛が見られ、受傷直後は疼痛のみで他の炎症所見は軽度でありますが、数時間の経過とともに出血や腫脹の増大を認め、その後は関節全体に浮腫も認めるようになります。
治療としては、主にRICE処置を行います。
R:最低でも炎症反応がピークになる48時間は安静を保ちます。
I:一般的には20分程度ですが、手関節は関節が表層に位置しており、冷却時間は短めにしてもいいです。
C:バンテージや圧迫包帯を使って圧迫します。
E:座位では頭部の上に、背臥位では枕などを利用して、いずれも心臓より高い位置に手関節を挙上します。
関節不安定性が残存すると上肢を使用するスポーツ動作に支障をきたすため、ギプスやシーネにより一定期間関節を固定し、損傷靭帯の治癒を促します。
不安定性が残存し動作が阻害される場合には手術が検討されます。