ある週はトレーニングを3回、ある週は0回にもかかわらず体重があまり増えていなかったと体験したことがあると思います。
それは体重は成長期でない限りカロリー計算をせずとも一定に保つように脳が司令を出します。
これを体重の恒常性と言います。
恒常性と聞くと体温であったり、体内のpH濃度であったりと狭い範囲内での調整を行なっていますが、体重は狭い範囲内で調整できるものではありません。
どこがこのような司令を出しているのでしょうか?
視床下部
体内の恒常性を調整しているのは大脳の奥深くにある視床下部で、内分泌系や自律神経をコントロールしています。
もちろん食欲も視床下部でコントロールされていてます。
どのように食欲がコントロールされているかというと視床下部で必要カロリーが計算され、それに合わせて食欲をコントロールし、自律神経や内分泌を介して基礎代謝をコントロールすることによって体重が調節されています。
そもそも視床下部は約4gしかないにも関わらず、体温・血圧・血中のホルモン濃度・自律神経の機能・欲求の制御などに関わっています。
さらに情動にも関わっていて、恐怖や興奮は大脳辺縁系から視床下部に伝えられて自律神経系やホルモンの分泌に大きな影響を与えます。
また、視床下部の視交叉上核という部分は体内時計の役割をしています。
よって、視床下部狂うと食欲のコントロールが難しくなります。
視床下部が食欲をコントロールしている説として、デュアル・センター・セオリー、リポスタティック・セオリー、グルコスタティック・セオリーがあります。
デュアル・センター・セオリー、リポスタティック・セオリー、グルコスタティック・セオリー
視床下部の外側野には食行動を司る「摂食中枢」、腹内側核には満腹を司る「満腹中枢」があります。
この相反する機能を持つ中枢によってコントロールする説をデュアル・センター・セオリーと言います。
脳が体にどの程度脂肪があるのかを感知し、食欲とエネルギー量を制御していると考えられ、脂肪細胞が脳に何らかの因子(リポスタット)で情報を送っていると考えられています。
リポスタティック・セオリーは脂肪細胞の量を一定に保つように脳がコントロールしている説のことを言います。
グルコースによって興奮するニューロンが満腹中枢に、グルコースによって抑制されるニューロンが摂食中枢に多く存在し、このニューロンは脂肪酸によって活動が増えるとされています。
グルコスタティック・セオリーは血中のグルコースが情報として脳に伝わり、これによって全身のエネルギー状態を判断して食欲をコントロールしている説です。
脂肪酸とは中性脂肪が分解されて血液中に出されたものであり、血糖値が下がって、血中インスリン濃度が下がると血中の脂肪酸の濃度が増えます。
空腹時には血糖値の低下→脂肪酸増加→摂食中枢のニューロンが活動を高め、満腹中枢のニューロンが活動を下げると考えられています。
これにより、グルコスタティック・セオリーによってリポスタティック・セオリーは考えられなくなりました。
食欲をコントロールしている視床下部が狂ってしまうと、食欲のコントロールが下手になってきます。
そのためにも、睡眠時間の確保、しっかり3食食べることを意識しましょう。