骨盤マルアライメントの治療①

骨盤マルアライメントは骨盤の歪みのことを指し、これを放置しておくと仙腸関節障害や脚長差による腰痛など様々な症状が現れます。

そのため治療が必要となってきますが、進め方として骨盤のアライメントを修正する「リアライン相」、得たアライメントを保つための筋機能向上を図る「スタビライ相」、マルアライメントを再発させる恐れのある動作の修正をする「コーディネート相」の3相で進めていきます。

各相どのようなことを行なっていくのでしょうか?

リアライン相

骨盤のアライメントがずれていると、仙腸関節が離開したり剪断され、関節周囲の靭帯や軟骨にストレスを及ぼし、痛みが発生します。

そのため骨盤のアライメント修正を行う必要がありますが、理想のアライメントとして左右対称に近く、両PSISが接近して仙腸関節が離開していないこととされています。

アライメントを崩す原因として、解剖学的因子、不安定性、滑走不全、筋機能不全、マルユースの5つが挙げられますが、解剖学的因子と不安定性は構造的問題ですので変化させることは難しいです。

よって、滑走不全や筋機能不全、マルユースの改善を図ります。

滑走不全は組織の過緊張をもたらすので、非対称性を増強させたり、仙腸関節を離開させたりする可能性があります。

股関節外転筋である中臀筋や小臀筋、大腿筋膜張筋などが滑走不全に陥ることで腸骨稜が外側に引っ張られ、仙腸関節を離開させます。

また、大臀筋の深層は長時間圧迫によって滑走不全が起こりやすいのですが、寛骨を後傾させ尾骨を引いて仙骨を前額面上で傾斜させます。

前面では大腿直筋や腸腰筋の癒着は寛骨前傾の原因となり、縫工筋はASISを下・内方に引くので寛骨前傾・内旋の原因になります。

これらの滑走不全に対してはマッサージなどはほぼ無効ですので、組織間をつなぐ疎性結合組織の離断を目的として組織間リリースを行います。

筋機能改善に対しては運動療法が適応となりますが、滑走不全が起こっている状態では筋の正常な伸長や収縮が行われないため、先に滑走性の獲得を行う必要があります。

大臀筋・胸腰筋膜や多裂筋の役割は関節の安定性を高めるためには必要で、特に大臀筋は滑走不全が起こりやすいので運動療法前に組織間リリースを行うことが重要です。

マルユースに関しては、例えば片足着地時によるニーインは骨盤の非対称アライメントを生み出す可能性があります。

この非対称アライメントは仙腸関節を離開させるので、ニーイン動作の修正する必要があります。

筋力に問題がなければ筋活動パターンの問題になるので、徒手などでうまく誘導すると良いです。

 

このようにリアライン相を進めていき、基本的な動きを行った際に痛みが消失するとスタビライズ相に進みます。

次回はスタビライズ相について書いていきます。

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