トレーニングを行うときによく機能的かどうかを考えますが、この「機能」、いわゆる「ファンクション」とはどういうものでしょうか?
「機能」とは、その人が何者で、何を必要としていて、どうしたいのかという根底があって初めて考えることができるものだと思います。。
ファンクショナルトレーニング=機能的なトレーニングと解釈するのは簡単ですが、そもそも機能的という定義自体が難しく、何を必要としどうしたいのかによって求められる要素が大きく異なることを忘れてはならないと思います。
お客様各個人のニーズ、求めるものはそれぞれに異なったものであり、何を欲しているかもまた様々であります。
大事なことはサービス業としては常にその要求を考えたうえで、まず絶対に必要な部分、いわゆる問題点の解決やその方のニーズを実現すべく必要な要素を取り組むことの必要性を強調しトレーニングを行っていきます。
例えば、野球の投手の「速い球を投げたい」というニーズに対し、速い球を投げられるように関節や筋にかかるストレスを無視してスピードがでるようなフォームのトレーニングをすることはニーズに対しては効果的かもしれませんが、その裏には「ケガ」という側面も含んでいて、このやり方は効果的ではあれど効率的とはいえません。
ケガなどの障害の予防も考えつつ、無理のないフォームでかつ速い球が投げられるようなトレーニングを考えることこそ、効率的でかつ機能的・効果的であると考えるべきです。
現場で指導していると、このように「効果的ではあるけれど、効率的でない選手」は沢山存在します。
ファンクショナルなトレーニングの位置づけを考えると、目指すべきゴール設定はその選手が最も効率的に機能する方法を探し、かつその個人の要求や必要性を実行することができるトレーニングこそ機能的なトレーニング、いわゆる「ファンクショナルトレーニング」になると考えています。
ファンクショナルトレーニングと聞くと、あんまり筋力トレーニングはしないように考えるかもしれませんが、ニーズの中に筋の強化が必要であればその選手にとって筋力トレーニングはファンクショナルなものになると考えるべきですし、筋力はあるけど柔軟性や可動性に乏しい選手にとってみればその可動性を改善させるようなエクササイズがファンクショナルなトレーニングと位置づけられるものになるはずです。
要するに、言葉に踊らされないことが重要。
考えるに全てのエクササイズ・また全てのトレーニングは、ある人にとって機能的なもの、必要なもの、つまりファンクショナルなものになる可能性があります。
それはその個人にとっての必要性と要求によって決定されるものであることを忘れてはいけないと思います。
様々なトレーニング理論が提唱され、いろんな分野でのトレーニングやエクササイズの方法が行われるようになってきていますが、一番大事なのは「行う選手自体が求めていて、かつそのニーズを満たすために必要なものであるか」という点です。
コレクティブなエクササイズにしても、パワー発揮のためのストレングストレーニングにしても、柔軟性や可動性UPのためのストレッチなどにしても、ヒトが機能的に動くためには必要な要素になりうるし、その機能を正常化、あるいはよりよいものに向上させるためには、「効果的であるか」より「効率的であること」が重要であり、「要求される要素」に対して「必要な要素」であるかどうかでその個人の機能を捉えることが重要になるのだと考えています。