近頃話題になっているコレクティブエクササイズ(Corrective Exercise)と従来の筋力トレーニング(Strength Training)について、たまに何が違うのかといわれることがありますので、その違いを考察してみます。
コレクティブエクササイズとストレングストレーニング。
まずはそもそも、一方はエクササイズであり、一方はトレーニングであるということ。
エクササイズという言葉には本来、「健康維持や体力増強のためにおこなう一連の動作で、熟練性を学びとる一助としておこなわれる短時間、または少量の練習」といった意味があります。
一方、トレーニングには、「健康維持や体力増強を目的として、また、試合やレースなどに備えて定例的におこなう身体的訓練のことで、一連のプロセスを通して必要な熟練性を学びとるためのもの」という意味があります。
以上を考えると、トレーニングはパフォーマンス改善のために継続的に長期的に繰り返し行うものであり、一方エクササイズはは、トレーニングの前段階としてトレーニングの質を高めるために行うもの、“身体的訓練”の質をあげるための一助といったものであるというように考えることができます。
ストレングストレーニングを行い基礎筋力や筋量を養い、その延長線上でパワーを向上させることは、『長期的な中で起こるパフォーマンスにおける適応』であり、それは『1セッション中に起こる反応』を評価するモビリティやスタビリティワークが中心のコレクティブエクササイズとは意味合いが違ったものになると思います。
コレクティブエクササイズでは筋力や筋量、パワーが1回のセッションで劇的に変化するというのは考えにくいです。
筋力や筋量、またパワーを向上させるには、一般的にはトレーニングの原理原則に従い、適切な負荷を毎回のセッションでしっかりとかけて、長期的な展望の中で漸進させる必要があり、これにはストレングストレーニングが必要となります。
コレクティブエクササイズ・ストレングストレーニングはそもそもどちらが大切というものでもなく、パフォーマンスを高める上ではどちらも大事であるという前提を踏まえたうえで、コレクティブエクササイズで正しい動作や制御ができるという身体的な基礎動作の習得がある状態で、筋肉量や筋力などのパワーを高めていくためのストレングストレーニングを行い、土台の上に積み重ねていくことで、結果としてパフォーマンスの向上が期待できる、いわゆるパフォーマンスピラミッドの構造を意識してトレーニングを組み立てていくことが重要になります。