筋の連鎖・キネティックチェーンを考える|フィジオ福岡 運動学

筋連鎖は、運動パターンを通じて共に作用し、互いに影響を及ぼす筋の集合体のことを指します!
この集合体の代表例として、共同筋、筋スリング、筋膜連鎖の3つのタイプがあります。
筋連鎖の各タイプは、関節・神経学的システムの双方に相互依存していきます。

【共同筋】
共同筋は、関節周囲の動きや安定性のため他の筋(主動作筋)とともに作用します。
また共同筋は、二次的な動作筋、安定筋、中立筋を含むこともあります。
例えば、肩関節回旋時に回旋筋腱板は活動しますが、菱形筋・前鋸筋・僧帽筋が回旋筋腱板の起始部を安定させるために、肩甲骨の安定筋として作用します。
したがって、回旋筋腱板の偽弱化は肩甲骨の不安定性によって引き起こされる場合もあり、その場合徒手的に肩甲骨を固定すると回旋筋腱板は通常の強さを示すことがあります。

このように共同筋は、独立した関節運動のために協力して働くことがわかっています。
共同筋の連鎖は、「フォースカップル(force couple)」においても認められます。
フォースカップルとは、回転中心の周りで純粋な回転運動をするときに作用し、反対側に位置する釣り合いのとれた2つの対になった筋群のことです。
例えば、回旋筋腱板と三角筋は肩甲骨外転の動作で、フォースカップルとして作用します。
ですので、関節の機能不全の際には、このフォースカップルの評価も重要となります。

【筋スリング】
独立した関節運動のために局所的に作用する共同筋と対照的に、筋スリングは多関節を通じて動きや安定性を与える全身的なものです。
筋スリング(※筋ループといわれることもあります)は、体幹、特に下半身から上半身を通じて、回転力や並進力を促通するものであると考えられています。
また筋スリングは、歩行のような相反性で対側性の動作に安定性や動きを与えています。
一般的に筋スリングは、共通の要構造を介してある筋の停止部が次の筋の起始部となり続いているといったように相互に連結されています。
つまり筋連鎖全体が安定することができる固定点としてこの要構造は作用しているのです。
このような構造が身体にはあり、いくつかの主要な筋スリングが認められています。
これらのスリング内の筋群は、一部の筋収縮ではなく機能的動作が生じるために共に働いていきます。
要するに、筋力を単に起始と停止から考えることはできないということ。
興味深いことにBergmarkの分類では、骨盤と胸郭に起始をもつ筋でこれらのスリングに関わるものは一般にグローバルマッスルになると考えられています。

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