加齢に伴う筋力の低下は、身体活動量の低下をもたらすだけでなく、脂肪蓄積量や骨吸収を増加させます。
高齢者の生活の質(QOL)の維持のため、骨塩量の低下、体脂肪の蓄積を防止することが大事になってきます。
そういった意味で、高齢者の筋力トレーニングの意義はきわめて大きいです。
一般的に筋トレといえば、筋収縮にたいする外部抵抗を漸増させる抵抗性トレーニング(レジスタンストレーニング)ですが、これだと高齢者がするには、トレーニング中に障害が発生する危険性があるだけでなく、
トレーニング効果が少ないものがあります。
また筋力トレーニングは怒責などを伴うことも多いため、動作中の収縮期圧上昇などのリスクも考えられます。
そのため、高齢者をトレーニングする際は十分な配慮が必要になります。
しかし、高齢者の筋力トレーニングの効果を出すには、日常生活動作では経験しないような刺激を骨格筋に与えることが重要になってきます。
事故や障害発生の危険性を考慮した筋力トレーニングが、温熱刺激を利用したトレーニングです。
①あらかじめ温熱刺激を与えてからトレーニングをすると筋肥大が促進すること。
②温熱刺激のみで筋肥大がひきおこされること。
③筋足痛が行われていないことで引き起こされる萎縮からの回復は温熱負荷により促進する。
④温熱刺激は筋細胞内のAktを活性化すること。
が確認されていてるけれど、骨格筋増量効果の発現には条件があります。
例えば①では筋温が一定温度以上に達することや、②ではその筋温が一定時間以上継続することが必要と考えられています。
ただこの条件を満たせば、どの年代でも温熱刺激による骨格筋肥大は起こるということはわかっています。
高齢者をトレーニングする際は、こういったトレーニングの知識もあったほうが障害発生の危険性などは低くできます。