エネルギー供給系の視点から運動を考えると、無酸素性エネルギー供給機構から供給されるエネルギーに多くを依存する「無酸素運動」と、有酸素性エネルギー供給機構から供給されるエネルギーに多くを依存する「有酸素運動」に大別することができます。
「有酸素運動」の代表的なものとしては、ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリング・エアロビクスダンスなどが挙げられますが、これらの運動は呼吸によって常にたくさんの酸素を取り込みながら行う持続的運動で、主に呼吸循環系機能の改善と肥満の予防・解消に効果的です。
有酸素運動を行う際の強度としては、ニコニコペースといわれる「楽である」から「ややキツイ」程度の範囲内で、最低でも15~30分程度運動を持続することが重要です。
運動の頻度は、週に3回以上行う必要があり、週2日以内では、最大酸素摂取量の向上はほとんどないといわれています。
「無酸素運動」の代表的なものとしては、筋力トレーニングが挙げられます。
これまで一般的に健康増進のためには有酸素運動を行うことが勧められてきましたが、近年では健康づくり運動として無酸素運動の重要性が見直されています。
アメリカでは高齢者の健康維持・増進にも筋力トレーニングが導入されています。
健康運動としての筋力トレーニングのねらいは、筋量と筋力の増大です。
筋量の増加は、相対的に体脂肪が減少するので、健康増進に有効とされています。
また筋力アップは、良い姿勢の保持や転倒予防にもつながるので、QOLの向上を導きます。
筋量・筋力向上のための運動としては、8~12回で疲労するような強度(最大筋力の75~80%)での運動を1セットとして、大筋群を含む8~12種類の運動を週2回行うことが勧められています。